ソフトバンクSIMの提供は? Y!mobileとUQは脅威? mineo×IIJmioトークセッション:IIJmio meeting 15(3/3 ページ)
4月8日に大阪で開催された「IIJmio meeting」で、ケイ・オプティコムとIIJがトークセッションを実施。ソフトバンクSIM、サブブランドについて、通信品質、カウントフリーなどについて、語り合った。
カウントフリーはやる? やらない?
田中 最近は、特定サービスの通信をカウントしない「カウントフリー」がはやってきています。LINEモバイルさん、FREETELさん、ビッグローブさんなどが提供しています。このあたりのトレンドはどう考えていますか? 自社サービスに落とし込む予定はありますか?
杉野氏 mineoでも、マイページの閲覧やLaLaCallの通話、200kbpsの通信は非課金です。これらは別として、最近はやっているカウントフリーは、まだ様子を見ていて、具体的にどこかのコンテンツプロバイダーと組んでやることは考えていません。もちろん興味はありますが、そのためのシステム構築も必要ですし、通信の秘密の侵害をどう対策するか、ネットワークの中立性の問題も、きちんと議論していく必要があるので、そのあたりは時間がかかると思っています。
佐々木氏 IIJは、「ネットワークは良い土管であるべきだ」という社是というか、エンジニアの世界で染みついている考え方を持っているので、これは今後も大切にしていきたいと思っています。じゃあ、10年前~30年前のネットワークサービスから一歩も踏み出さないのかというと、そんなことはなくて、われわれのサービスも、この20年間かけてゆっくりと変わってきたところもあるので、未来永劫やらないつもりもありません。古きものをばっさり切り捨てて、何でも新しいはやりに飛びついていくわけではなくて、われわれがこれまで培ってきた正しいと信じる考えを踏まえながら、何をお客さまに対して提供するのがベストなのかを考えていきたいです。
われわれがSNSをカウントフリーにすると、一部のお客さまには喜んでいただけるのかもしれませんが、それをみんながやったら、結局横並びになるだけなので、何ら差別化にもなりません。
その分の設備増強の原資をどこかから持っていかないといけないので、みんなが苦しくなってしまう。MVNOがやっているから、ドコモさんが「dなんとか」を無料にしますと言ったときに、彼らの設備は定額だからいいとして、われわれのように従量で設備を買っているところは苦しくなるだけなので、ビジネス的に見ても、カウントフリーが得策なのかは、僕は非常に疑問に思っています。
“横並び”にならないためにすべきこと
田中 今、横並びという話が出ましたけれど、MVNOを取材していても、膨大なサービスがあり、違いが見えにくくなっています。確かにカウントフリーも他の事業者がやると、差別化が難しくなります。今後、どう差別化を図っていきたいとお考えですか?
上田氏 今、一番意識しているキーワードは「共創」と「安心」です。
共創については、「マイネ王」というコミュニティーサイトで、ユーザーさんと一緒に新たな価値を作っています。そこを磨いていくことが、mineoがさらに大きくなるキーワードになると考えています。
安心については、「格安SIMを使わない理由」をアンケートで聞くと、一番に来るのが「大手キャリアの方が何となく安心だから」なんですね。それは「何となく」の話なので、「mineoに来ていただければ、○○はできないかもしれないですけど、安心して来てください」と、安心感を訴求していくのが大事かと。
こうした共創や安心を意識しながら、オンリーワン、ナンバーワンを目指していきたいと思っています。
佐々木氏 いろいろな国を見ていても、MVNOのシェアは、15~20%ぐらいが天井だということが分かります。日本の格安SIMの比率は5%台で、まだまだ伸びる余地があるにしても、MVNOが5割~7割を超えていくというのは難しい。
今あるマーケットを取るのに加え、これまでの延長線でないところで競争をしていかないといけない。僕らのイノベーションが問われてくるところだと思っています。
これはMVNOだけの問題ではなく、キャリアさんですら「スマートフォンの次を探さないといけない」と言って、いろいろな取り組みをされています。スマートフォンは、これから生活必需品としてコモディティ化していく。じゃあ、次の競争軸は何なのか? 世界を変えるためのサービス、プロダクトを考えないといけないと意識しています。
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