「日本は戦略的に最も大切な市場」――EVO 3Dで見せるHTCの意気込み
HTCのWiMAX対応の第2弾スマートフォン「HTC EVO 3D ISW12HT」が10月7日に発売される。これを受けてHTCがプレス発表会を実施。HTC Watch、3D撮影、HTC Sense 3.0などの見どころが紹介された。
HTCが10月5日、「HTC EVO 3D ISW12HT」のプレス発表会を開催した。HTC EVO 3Dは北米などで発売されているグローバルモデルで、日本でも10月7日にKDDIから発売される。デュアルコアCPU、QHD(540×960ピクセル)ディスプレイ、3D撮影可能なツインカメラなど高いスペックを持つほか、下り最大42MbpsのWiMAXもサポートする。海外で提供している映像配信サービス「HTC Watch」も利用可能だ。
HTC 北アジア プレジデントのジャック・トン(Jack Tong)氏は「HTCは2006年から日本でビジネスを展開しており、常に日本の消費者のニーズに耳を傾けて学んできた。日本のユーザーがスマートフォンプラットフォームの恩恵をフルに受けるには、高速なネットワークと高い能力を持ったデバイスが必要だ。今回、KDDIと一緒に最高のスマートフォン体験を提供できることをうれしく思う」とHTC EVO 3D投入の喜びを話した。
もちろん日本市場には今後も積極的にコミットしていく。「より多くのネットワークやデバイスから選んでもらいたい。KDDIとともに最高のモバイルライフスタイルを提供し、皆さんのライフスタイルが、より楽に、シンプルに、楽しくなることを願っている。日本で、スマートフォンのマジックをより多く方にもたらすことを約束する」と力強く話した。
HTCスマートフォンの特徴の1つが、独自ユーザーインタフェース(UI)の「HTC Sense」だ。HTC EVO 3Dには最新の「HTC Sense 3.0」を採用しており、グラフィカルな天気予報ウィジェット、ロック解除画面から任意のアプリを起動できるショートカット、数秒で撮影できるインスタントキャプチャなどを利用できる。UIを手がける上で同社がこだわっているのが「五感で体験してもらうことだ」とチーフ プロダクト オフィサーの小寺康司氏は話す。快適な動画撮影にもこだわり、撮影した動画のトリミングが端末からできるほか、Facebookへの共有などをワンタッチで行える。
スマートフォンをいかにライフスタイルに取り込むかを考える中で採用したのが、HTC独自の映像配信サービス「HTC Watch」だ。ハリウッドの映画タイトルを多数用意しており、今後は日本の映画も扱っていく予定だという。小寺氏は「HTC EVO 3Dのキーの1つが“プレミアムマルチメディア”。いつでもどこでも上質なエンターテインメントが楽しめる」とアピールする。なお、HTC Watchの料金や作品数などの詳細は10月7日の発売時に発表される。
発表会では、女優の三船美佳さん、気象キャスターの森田正光さん、写真家の桐島ローランドさん、モデルの長谷川理恵さんを招いてのトークショーを通してHTC EVO 3Dの見どころが紹介された。物心ついたころから映画館に通っていたという三船さんはHTC Watchで映画を見て「これだけ画面が大きいと、スマートフォンで本編全部を見てもストレスがないですね」と話し、ディスプレイの見やすさに感動したようだった。映画タイトルを選んでから10秒で見始められる(見ながらダウンロードが開始する)と小寺氏から紹介されると、「小さい子どもがいると、周りに気を遣って映画館に行かない人もいます。私も家で映画パーティをやることがあるんですけど、これなら新作もすぐに見られますね」と感想を話した。
森田さんは気象予報士ということもあり、HTC EVO 3Dにプリセットされている天気予報ウィジェットが紹介された。森田さんは体感温度がウィジェット上で確認できることに着目し、「ケータイで表示されるのは初めて見る。体感温度は予報士も出していない」と感心していた。同ウィジェットでは晴れ、曇り、雨などの天気がアニメーションで表示され、数時間後または数日後の天気予報を見たり、あらかじめ選択した都市の天気予報をフリック操作でスピーディに閲覧したりできる。こうした多機能ぶりについて「我々の商売敵では?」と話して会場を笑わせた。
桐島ローランドさんにはHTC EVO 3Dの3D撮影を試してもらい、手軽に3D写真が撮れることを紹介。カメラ機能について小寺氏は「スマートフォンでは人とのつながりが重要になる。遊びに行ったときに撮った写真を簡単に加工して送ったり、どんな人でも簡単にプロ級の写真を撮れるようこだわった」と話した。長谷川さんはホーム画面、ブラウザ、TwitterなどのUIを体験。Twitterにスピーディに投稿できることに驚いていた。
この発表会が開催される数時間前にAppleの新型iPhoneである「iPhone 4S」が、ソフトバンクモバイルとKDDIから発売されることが発表された。HTC EVO 3DをKDDI向けに供給しているHTCにとって、auからiPhone 4Sが発売されることで、少なからず影響を受けることが考えられる。この点についてトン氏は「我々は最先端の技術を搭載したスマートフォンを世界中に供給しているという自負がある。オペレーターと協業することで世界5位以内のシェアを持ち、米国のマーケットではiPhoneに次ぐシェアを獲得できている。日本のキャリアとも協力し、米国と同じように成功できると思っている。HTC Watchでは素晴らしい映像サービスを提供でき、競合他社との差別化になる」と話し、iPhoneにはないHTC EVO 3Dの魅力がユーザーに伝わる自信があることを強調した。
「2009年と2010年を比べると業績はほぼ倍増しており、2011年も2010年と同様の売上を確保できると考えている。日本は戦略的に最も大切な市場と考えている」と話すトン氏。日本の携帯市場でスマートフォンシフトが進む中で、スマートフォン専業メーカーであるHTCの存在感は日ごとに増している。HTCが満を持して投入する“グロスマ(グローバルスマートフォン)”で日本のシェアをどこまで伸ばせるか、注目したい。
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