「auスマートバリュー」の利用率は全国の2倍――関西で進むスマホシフトの舞台裏(2/2 ページ)
固定通信とスマホをセットで割り引くKDDIの「auスマートバリュー」が、100万契約を突破するなど好調だ。中でも特に利用率が高いのが関西エリア。関東と比べてスマホ普及率は低いが、「スマートパスポート構想」は全国でも特に支持を集め、順調にスマホ率が伸びている。
9カ月で800人以上がスマートフォン講座に参加
関西、そして全国でauスマートバリューは一定の成功を収めたが、今後は主婦やシニア層など、いわゆるレイトマジョリティと呼ばれる層への訴求が課題となる。「auユーザーのスマートフォンの所有率やスマートバリューの加入率を見ると、auスマートバリューはまだまだ成長の余地がある。そのためには『スマートフォンを使ってみたいけれど、サービスを含めてまだよく分からない』という顕在ニーズの取り込みと、『スマートフォン自体をよく知らない』層の潜在ニーズの掘り起こしが必要だと考えている」と甘田氏は説明する。そのためには「魅力ある端末の拡充」「魅力あるサービスの提供」「ユーザーへの情報発信と理解促進」の3つが重要だと同社は考える。甘田氏は「関西の皆様に“スマホライフスタイル”を提案したい」と意気込む。
1つ目の端末については先述のとおり、人気ブランドを継続して扱っていく。夏モデルでは「HTC J ISW13HT」「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」「ARROWS Z ISW13F」「URBANO PROGRESSO」「AQUOS PHONE SL IS15SH」「AQUOS PHONE CL IS17SH」の6機種を投入し、さらにラインアップを拡充させる。2つ目のサービスは、スマートパスポート構想の第2弾として「ビデオパス」と「うたパス」を開始する。3つ目の情報発信ではプロモーションをいっそう強化する。甘田氏が「強力な助っ人を招いた」と話すのが、「巨人の星」の主人公 星飛雄馬に加えてCMキャラクターに就任した花形満だ(外部リンク参照)。「関西の人気球団に所属するスター選手ということで、私が獲得を進言して(CM用に設定されたチーム)Smart Valuesに入団してもらった。関西地区の調査では、星君を上回る人気なので、スマートバリューを大いに盛り上げてくれるのでは」と甘田氏は期待を寄せる。
潜在ニーズを喚起する取り組みの事例として、主にシニアユーザーを対象としたスマートフォン講座を開催している。この講座は関西に限ったものではないが、「関西では関東に比べてスマートフォンの普及が遅い」(甘田氏)こともあり、実施回数は関西が最多のようだ。2011年9月から2012年6月12日まで計43回開催し、受講者数は約800人。受講者の平均年齢は約60歳で、8割が女性。NHK文化センターや朝日カルチャーセンターなどで、月平均5回、1回あたり受講者数は約20人という形で開催してきた。「今後は主婦層をターゲットにして毎月5件ほど増やしていきたい」と甘田氏は話す。
これに関連し、一般ユーザーがau端末に触れられる“場”をいかに提供するかも課題といえる。関東ではKDDIデザイニングスタジオ、名古屋では旗艦店のau NAGOYAがKDDIとユーザーのタッチポイントとして大きな役割を果たしているが、関西ではどうか。甘田氏が期待を寄せるのは「auショップ」だ。「実は関西のauショップは全国で一番リニューアルが進んでおり、店舗の大型化やスタッフの増員はうまく効果が現れている。関西好調の根底がauショップにある」と言うほどだ。具体的には店舗の面積を平均20坪から40坪に拡大して来店者が体験できるスペースを確保したほか、最近はタブレットによる接客も導入し、コンサルの視覚化も強化しているという。「言葉よりも見て、体感していただくことでスマートフォンの良さを感じていただけるのでは」と甘田氏。関西のauショップのリニューアルは「対象店舗の約6割が完了している」(齊藤氏)という。
スマートパスポート構想をはじめとするKDDIの取り組みが功を奏し「2012年度は全国におけるスマートフォンの販売比率は7割ほどを見込めるのでは」と甘田氏は手応えを話す。KDDIが展開する端末、サービス、情報発信の施策をさらに注視したい。
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