イー・アクセスに聞く、月額3880円で使えるLTEスマホ「STREAM X」投入の狙い:ソフトバンクとのシナジー効果も(3/3 ページ)
2年間使えば端末代は実質0円、割引も加えると毎月のランニングコストは3880円に抑えられる「STREAM X(GL07S)」。料金面のインパクトが非常に大きいが、イー・アクセスはどのような狙いでSTREAM Xを投入したのか。担当者に話を聞いた。
ソフトバンクとのシナジー効果でエリアの弱点をカバーする
ITmedia スマートフォンとデータ端末のバランスは、今後どうなっていくのでしょう。
中村氏 今後、ソフトバンクとの経営統合を踏まえて、最大のシナジー効果を出せるようにしていきたいですね。
ITmedia 例えば、ソフトバンクの端末をイー・モバイルで扱うことも……?
中村氏 今後の端末についてはまだお答えできませんが、魅力的なラインアップをそろえられるように検討中ですので、ご期待いただければと思います。
ITmedia ソフトバンク傘下になったことで、端末戦略に変化は出ましたか?
中村氏 まだお話しできませんが、来年度には何かしら具体的な形にして、お客様に提供できると思います。
ITmedia ベースモデルがAscend P2でありながら、イー・モバイル版の製品名が「STREAM」なのも気になりました。ソフトバンクにも「STREAM 201HW」というスマートフォンがありますが、何か関係があるのでしょうか?
中村氏 LTEスマートフォンそのものをご提供することは、ソフトバンクとの統合前から決めていましたが、STREAMという名前は経営統合が決まった後に決定しました。
ITmedia グループの中で整合性を取る……と。
中村氏 この機種については、そうした方がいいだろうと判断しました。
ITmedia イー・モバイルの端末は、Huawei製のものが多いですよね。Huawei一辺倒になっている感もあるのですが、メーカーのバランスはどのように考えていますか?
中村氏 ソフトバンクとの統合したことによるシナジー効果を発揮し、より評価いただけるラインアップにしていきたいと考えています。
ITmedia エリア拡大の見通しはいかがでしょう?
中村氏 冒頭で紹介したアンケートでは、キャリア選びで重視する項目に「つながるエリアが広いこと」が3番目に入っています。イー・モバイルの全国における人口カバー率は94%なので、残念ながら、これ1台でどこでも安心してお使いいただけるという状況には至っていません。電話機として使う場合、例えば地下の飲食店で待ち合わせするようなシーンでは、まだ他社さんに劣っている部分はあります。今はソフトバンクのネットワークの相互利用についての協議を進めています。この相互利用で劇的な改善ができると思っています(インタビュー後、STREAM Xでソフトバンクの3Gネットワークを今夏から利用可能になることが発表された)。
ITmedia イー・モバイルユーザーとしては、ソフトバンクのネットワークを使えることがメリットですよね。使う帯域と帯域幅は決まっているのでしょうか。
中村氏 2.1GHz帯のSoftBank 3Gサービスエリアです。
ITmedia EMOBILE LTEのエリアについてはいかがでしょう。下り最大75Mbpsのエリア構築はどこまで進んでいますか?
中村氏 今後、鋭意拡大していきたいと思っています。
ITmedia ソフトバンクとの相互利用は、LTEも含めてということでしょうか。
中村氏 (ソフトバンクの)iPhone 5には、当然我々のLTEネットワークをご利用いただくことで進めています。
ITmedia STREAM Xで、ソフトバンクの2.1GHzのLTEを使うことも視野に入れているのでしょうか。
中村氏 STREAM Xは通信方式として、2.1GHzのLTEには対応していません。
ITmedia 統合が決まってから、冬モデルもなく、イー・モバイルは今後どうなっていくんだろうと思っていましたが、春夏以降はかなり盛り上がっていきそうですね。
中村氏 ソフトバンクとがっちり組んで、会社とお客様にとって、最大限のシナジー効果を出していこうと考えています。経営統合をしたことで、今まで検討していたことをすべきかどうかを調整しました。でも今はそういったことは一切解消されていて、一緒にソフトバンクグループの一員として、ビジネスの準備を進めています。
ITmedia 冬がおとなしかったのは、経営統合による検討期間があったわけですね。
中村氏 ある程度、そういうことはありましたね。
ITmedia EMOBILE LTEは、ソフトバンクの「SoftBank 4G LTE」と「SoftBank 4G」とはライバル関係にもあります。ユーザーさんには、価格の安いEMOBILE LTE、iPhone 5が使えるSoftBank 4G LTE、AXGPネットワークが使えるSoftBank 4Gを選んでもらうというスタンスなのでしょうか。
中村氏 そうなっていくと思います。ウィルコムも含めて、幅広いところから選んでいただける体制は整っていると思います。
ITmedia 今後のイー・モバイルのキャッチコピーのようなものがありましたら、教えてください。
中村氏 「LTE」は、1つの重要なキーワードになってくると思います。
ITmedia 今後の新端末は、すべてLTEに対応させると。
中村氏 現段階で、LTE対応機種として、モバイルWi-Fiルーターだけでなく、スマートフォンもラインアップしました。今後の端末についても、ご期待いただければと思います!
ソフトバンクとの経営統合以降、動きが止まってしまったかのように見えたイー・アクセス。これからはデータ端末を細々とやっていくだけになるのだろうか……? と個人的には少し心配していたが、STREAM Xの発表を見て杞憂だったと感じた。2013年夏以降に、STREAM Xでソフトバンクの3Gネットワークを利用可能になることも発表され、ソフトバンクとのシナジー効果の一端も見えてきた。競争力のある料金サービスと、必要十分なスペックを満たした端末を提供するイー・モバイルが、LTE市場の台風の目になるかもしれない。
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