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インタビュー

iOS対応とストア拡充で「dマーケット」はどこへ向かうのか――NTTドコモ阿佐美氏に聞く神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

3キャリアがiPhoneを販売する中で、ドコモは改めてネットワークとサービスを競争軸に据えようとしている。その中で、dマーケットをはじめとするドコモの各種サービス事業は何を目指し、どのように競争力を高めていくのか。

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ドコモの強みは「決済」「販売チャネル」、「ストアの連携」

―― スマートフォン時代に合わせてドコモのサービスを作る上で、特に重視したポイントはあるのでしょうか。

阿佐美氏 コテコテのリッチコンテンツをしっかり提供する、ということですね。我々のサービスをいきなりグローバル展開することなんてできない。ですから、dマーケットではビデオ、アニメ、ブックなど日本市場コテコテのサービスをやることで、AppleやGoogleにはないコンテンツを用意しました。

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月額420円で約700作品、約1万話が見放題となる「dアニメストア」

―― 先ほどの話にもあった共存共栄を図るために、まずは補完関係を重視したわけですね。確かに「dアニメストア」などは、AppleやGoogleはまず作らない日本コテコテのサービスですね。

阿佐美氏 ああ、あれは私の趣味で作りました(笑)。しかしまあ、スマートフォンの一般層への普及が進んできますと、もっと多くの人々の生活に根ざしたものも作らないといけない。スマートフォンの進化が、人々の生活や行動を支援する形に進んでいますので、我々が得意とするエンタメ分野のリッチコンテンツばかりをやっているわけにもいかないわけです。そこでdマーケットの新たな段階として、ショッピングや保険、ヘルスケアなどの新サービスにも取り組んでいます。

―― サービス範囲を拡大することは必要なことですが、そこでどのようにしてドコモの強みを出すのかは課題ですね。

阿佐美氏 ひとつはやはり決済だと考えています。ポストペイのキャリア決済は我々の特長だったわけですが、この部分(決済)でさらに優位性を出すために、新たに「ドコモ口座Visaプリペイド」も始めました。これはプリペイドながらバーチャルでクレジットカード番号決済ができるので、キャリアのポストペイ決済が利用できないiTunes Store/Apple Storeでも利用できるのが特長ですね。

 あと、これはコンテンツプロバイダー側に対するメリットになるのですが、dマーケットはより日本市場に特化した形になっていますので、お客様にリーチしやすい。また手数料もグローバル市場向けのGoogle PlayやApp Storeよりも低めに設定しています。コンテンツプロバイダーが、提供するコンテンツに合わせて選べる環境になっているのもドコモの強みと言えますね。

―― 決済・課金や手数料の安さは、以前からあるドコモの強みですね。それ以外に、新たに優位性とするポイントなどありますでしょうか。

阿佐美氏 ドコモショップですね。ドコモショップがあるということは、リアルでのお客様の接点があるわけです。今後のデジタルコンテンツ市場の競争を考えると、(ドコモショップなど)リアルの店舗でお客様にサービスを紹介させていただいたり、推奨したりできるという仕組みを持つことは、ドコモの資産だと考えています。これは競合となるネット企業ではなかなか難しいことです。プッシュ型の営業・販促ができることは、我々の強みといえるでしょう。

―― 確かに販売店でのサービス加入率で考えれば、ドコモショップの役割は重要です。他方で、今後のサブスクリプション型のコンテンツビジネスでは、加入したユーザーがいかにサービスを利用するか。いわゆるアクティブ率が重要になりますが、この点についてはいかがでしょうか。

阿佐美氏 我々は(dビデオ、dアニメなど)複数のストアを運営しているので、それをいかに組み合わせて訴求していくか。ストア同士の相互送客が重要だと考えています。ひとつのきっかけから複数のストアに送客をかけていく。映画の劇場公開に合わせて関連コンテンツを訴求したり、新作アニメに合わせて周辺ビジネスに送客したりするようなイメージですね。例えば最近では、「進撃の巨人」をdアニメで配信し、dブックで原作の電子書籍を売るといった形で連携させました。今後はdトラベルやdファッションなどでも、相互送客の仕組みはいろいろ考えています。

ストロングなネットワークの上で、「サービスのドコモ」へ

―― 「dマーケット」はキャリアとして異例なまでに多くのサービス/ストアを展開しているわけですが、来春商戦やその先に向けて、ドコモはdマーケットをどのように訴求していくのでしょうか。

阿佐美氏 重要な軸は2つあります。ひとつは「新しいサービス/ストアを訴求すること」。これはまあ当然なわけですが、もうひとつは「すでにあるサービス/ストアをしっかりと使っていただくこと」です。特にd fashionなど物販系は、サービスを使っていただくことが特に重要です。これからは“いかに使っていただくか”を重視していきます。

 また、今後はリアルとの垣根を超える領域に注力していく。そこではO2Oのような取り組みもありますし、リアルな“場”を持つ企業とのコラボレーションもあるでしょう。ABCクッキングスタジオとの提携などは、まさに後者ですね。

 そして今年中にマルチプラットフォーム対応はかなり進みますから、スマートフォンもタブレットもお客様の使いたいものが使えるようにしていきます。「ストロングなネットワークの上で、サービスのドコモです」と断言できるようにしていきます。

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