「日本のiPhoneユーザー」には当面メリットが少ない?――iOS 9の残念なところ
iOS 7やiOS 8に比べて「普段使いで影響のある変化が乏しいかな?」というのが正直な感想。また、日本が(現時点で)対象外となっている新機能が多いのも残念だ。
AppleがiOSデバイス向けの最新OS「iOS 9」を発表し、2015年に秋に配布する。
iOS 9の主なトピックは、Siri、検索機能、「メモ」「マップ」アプリの拡張、ユーザーの行動を予測する機能、「ニュース」アプリの提供、iPadのマルチタスクなど。Apple Payが英国で提供されることも発表された。
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iOS 9の内容を見て率直に思ったのは、「日本のユーザーにとって画期的な新機能は少ないのでは?」ということ。Apple Payは日本ではいまだに利用できず、ニュースアプリと、マップアプリの乗換案内が日本で提供されることも、アナウンスされていない。
iOS 9のニュースアプリの、カテゴリーごとにスマートフォンに最適化されたレイアウトで読めるUIは、数多くの既存ニュースアプリが実現しており、これだけを聞くと目新しさは少ない。一方で、記事を読むほどにユーザーの興味を覚え、より趣味嗜好(しこう)に合った記事をセレクトしてくれるというのは面白い。日本でリリースされたら、ぜひ既存のアプリと使い比べてみたいのだが、日本で日の目を見る日は来るのだろうか。
マップアプリの乗換案内(Transit)や、近くのスポットを提案してくれる機能(Nearby)は、すでにGoogleマップが実装しており、Siriで検索できることやOS Xと連携できることを除くと、マップアプリならではのメリットが乏しいように感じる。
日本でSiriを常用している人がどれほどいるのかは分からないが、外で声を発することに抵抗のある人(特に日本人は多いのでは)にとって、Siriのアップデートによるメリットをどれだけ享受できるのかも未知数だ。
今回、「おおっ」と魅力を感じたのは、iPad Air 2向けに提供される2アプリの分割表示だが、対応機種がiPad Air 2のみなのが何とも残念。1世代前のiPad Airや、iPad mini 2/3にも搭載してほしかった。Androidでは、SamsungやLGの一部スマートフォンが同様の機能を実装しているので、iPhone 6/6 Plusに採用するのもアリだと個人的には思う。
使い勝手の面で、じわじわ効いてくるであろう新機能は、行動を先読みするアシスト機能(“余計なお世話”になる懸念もあるが、まずは使ってみたい)、パフォーマンスの改善、バッテリーの持ちを長くする省電力モード、そして(キーノートでは触れられなかったが)AndroidからiOSへデータを移行できる「Move to iOS」アプリだろうか。
一方、iPhoneで利用頻度の高い(と思われる)Safari、カメラ、写真、メール、メッセージなどの機能拡張が発表されなかったのは物足りない。今秋のリリースまでに、もう少し追加のアップデートがあると、または(ニュースや乗換案内の)日本対応が発表されるといいなぁ、と思ったのだった。
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