“フルラインアップ戦略”を掲げる新生「FREETEL」への期待と不安:石野純也のMobile Eye(6月22日〜7月3日)(2/2 ページ)
ブランドを「FREETEL」に刷新し、「SIMフリーキャリア」にかじを切ることを発表したプラスワン・マーケティング。今回はFREETELの発表から見えてきた、同社の戦略を解説していく。
充実したラインアップとサービス、課題は“当たり前”を貫くことか
プラスワン・マーケティングのような企業は、日本ではまだあまりなじみがないかもしれない。一方で、グローバルの規模で見ると、こうした新興企業が急成長する例は珍しくない。フランスでは、「Wiko」と呼ばれるメーカーが急成長しており、大手メーカーのシェアを脅かすようになっている。Xiaomiをはじめとする、中国新興メーカーの躍進はいわずもがなだ。Windows Phoneでは、Yezz、BLUなども徐々に知名度を上げている。市場動向が異なるため、同じように当てはめることは難しいが、日本でもMVNO市場は順調に拡大している。この波に乗って、FREETELブランドが浸透し、存在感を高められる可能性は十分ある。
一方で、そこには発表したとおりの内容をきちんとやりとげられればというただし書きもつく。同社が過去に発表した「freetel XM LTE」は、発表した端末のデザイン、スペックを大幅に変え、ZTEの「Blade Vec 4G」とほぼ同じ形で出ることになった。この場合はスペックが当初より高くなっているのでまだいいが、出してみたものの品質が伴わず、ネット上で不評が散見される機種もある。同様に、通話とSMSに特化したフィーチャーフォンの「freetel Simple」は相次いで延期を繰り返し、まだ発売に至っていない。
freetel Simpleの発売が遅れた理由を増田氏は「『ぱぴぷぺぽ』というボタンを押したときの音が微妙にずれる。ショートメールや連絡先だけなのでいいかもしれないが、やはりどうも……」と述べている。OSがAndroidではなく、独自のものであることも理由の1つだという。とはいえ、freetel Simpleが発表されたのは2014年11月のこと。すでに半年以上が経過しており、このタイミングでも発売日を明言できていない。多少の延期はやむを得ないかもしれないが、ここまでズレると本当に品質管理ができているのか、疑いたくなってくる。
Windows 10 Mobileについても、同じことがいえる。現時点ではMicrosoft自身が、OSの完成時期を明言していない。海外メーカーを中心に取材を進めると、秋という時期もおぼろげながら見えてくるものの、まだ確定した情報はない。Windows 10 Mobileをいち早く投入したい気持ちは分かるが、同じことを繰り返さないためには、発表は発売直前まで控えておいた方がよかったのではないか。
増田氏は「もうくだらない理由で遅れることはない。新しいチップセットが思ったほどの速度が出ないなどあれば改善するが、そういうことがなければタイムリーに出せる体制が整っている」と述べており、過去の反省を生かしている様子はうかがえる。いみじくも同氏は「よくベンチャーであるような、社長がしゃしゃり出てくるのは好きじゃない。メーカーであれば製品で語りたい」と語っていたが、ぜひそれを次の端末で証明してほしい。
関連キーワード
石野純也のMobile Eye | プラスワン・マーケティング | Windows 10 Mobile | MVNO | KATANA 01 | KATANA 02 | SIMロックフリー | 相互接続 | Snapdragon | テンキー | 折りたたみケータイ | freetel mobile | Google Play | 格安SIMカード | LTE(Long Term Evolution) | MVNE | SAMURAI KIWAMI | SAMURAI MIYABI | SIMロック | Android 5.0 | freetel Simple | MADOSMA | Windows Phone
関連記事
- 「石野純也のMobile Eye」バックナンバー
- フリーテルがブランドリニューアル 格安SIM初の通話定額は延期――2015年6月音声通話編
データ通信用SIMカードにさまざまな動きがあった6月。一方の音声通話対応SIMは、データSIMと比べると“穏やか”なものの、注目すべき動きもいくつか見られた。 - 日本メーカーとしてワクワクするものを作る――生まれ変わった「FREETEL」で目指すもの
プラスワン・マーケティングの「freetel」が、「FREETEL」にブランドを刷新する。新ブランドのもと、SIMフリー端末・通信(SIM)・店舗チャネルを統合した「SIMフリーキャリア」として、そして日本品質を世界に届ける端末メーカーとして、新たなる一歩を踏み出す。 - freetelが新MVNOサービスを発表、データ通信は100Mバイトで月額299円から
プラスワン・マーケティングが、新MVNOサービスと新端末を発表。7月15日からレイヤー2接続による通信サービスを提供し、月額299円〜のデータ通信サービスと、月額999円〜の音声通信サービスを開始する。Windows 10 Mobile端末やAndroid搭載フィーチャーフォンも発売する。 - フリーテルが「Made by JAPAN」を全力でアピール━━「半濁点入力」の改良に苦戦して、リリースを半年以上も延期
プラスワン・マーケティングが「フリーテル」ブランドの刷新を行い、MVNOサービスと新端末の発表会を開催した。「Made by JAPAN」を掲げ、日本品質を訴求する新ブランドだが、本当にそれでいいのだろうか。 - 「MADOSMA」に続くスマホも――日本で再びWindows Phoneが登場した理由
マウスコンピューターが、日本では約4年ぶりとなるWindows Phone搭載スマホを発売するなど、日本で再びWindows Phoneが盛り上がりを見せつつある。今回はグローバルと日本、それぞれの観点からWindows Phoneを取り巻く状況を解説する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.