「ChatGPTでAdobeツールを動かす」を検証 静止画の編集は快適、一方で動画は……(2/2 ページ)

動画対応はまだまだ

 こうした静止画ができれば、当然動画にしたらどうなるんだろうという流れになる。この静止画をベースに動画生成させてみた。

現状は静止画から動画を生成する機能は使えない 現状は静止画から動画を生成する機能は使えない

 すると以下のような返答が返ってきた。

 「現状、このAdobe連携で利用できる動画機能には、静止画から新規にAI動画を生成する機能(Firefly Video)がありません。利用可能なのは既存動画の編集・レンダリング等であるため、ご指定の「3秒間の浮上動作・泡の上昇・光粒の点滅」をここで直接生成することはできません。」

 プラグインはAdobe Fireflyとも連携しているはずだが、参照画像を使っての静止画からの生成には対応していないようだ。せっかくここまでできているのに、惜しいところである。

 仕方がないのでFireflyへ移行し、直接動画を生成した。生成された動画が以下である。

Fireflyで直接生成させた動画

 この動画に対して、静止画同様にカラーグレーディングを試してみた。

動画のカラーグレーディングには対応していない 動画のカラーグレーディングには対応していない

 これに対する返答が以下である。

 「申し訳ありません。このAdobe連携では、動画の色補正・カラーグレーディング機能は現在利用できません。利用できる動画操作はリサイズ、レンダリング、ハイライト作成に限られます。Premiere Proであれば、Lumetriカラーの「基本補正」と「カラーホイール&マッチ」を使い、暖色(アンバー)をシャドウとハイライトに控えめに加えたシネマチックなトーンに調整できます。」

 昨今のPremiereのアップデートではカラーグレーディングが強化されているが、MCP連携機能としてはまだ実装されていないということだろう。グレーディングはAIに任せてもリテイクの可能性が少ない作業なので、今後はここが重要視される領域ではないかと思われる。

 音楽を付けてみようとしたが、これもできなかった。

音楽も付けてくれない 音楽も付けてくれない

 筆者が動画に対してやりたいことは、今のところこのプラグインでは何一つ実現できなかった。

 動画編集機能としては、「長尺の動画を目を引くハイライト動画に変換し、YouTubeショートやInstagramリール、その他のSNSプラットフォーム向けに調整します。」という機能が紹介されている。

 そこで筆者がメルマガ向けに公開している約10分のトーク動画を、SNS投稿用に3分にまとめるよう指示してみた。

約10分の動画を3分へ編集依頼してみた 約10分の動画を3分へ編集依頼してみた

 ところがChatGPTのファイルアップロード上限は512MBまでであり、Adobe連携でもこの制限が適用されるようだ。「長尺の動画」というのなら512MBでは済まないわけで、こうした実装には無理があるのではないだろうか。

 ファイルサイズとしてはあとちょっとなので、圧縮率を上げて再度アップロードした。しかし今度はAdobe側への動画転送ができないという。

ファイルサイズは通ったが、Adobe側へ転送できないという ファイルサイズは通ったが、Adobe側へ転送できないという

 Adobeとの接続は問題ないように思える。なぜならば、「Adobe Creative Cloud」で直接確認すると、動画ファイルはクラウド内に転送されているからだ。エラーのたびに複数回トライしているが、動画は全部転送されていた。おそらく転送完了の情報がChatGPT側に返されていないので、アップロード失敗と判断されているようだ。

Adobe Creative Cloud側で確認してみたところ、ファイルは転送されている Adobe Creative Cloud側で確認してみたところ、ファイルは転送されている

 仕方がないので、Adobe Creative Cloudに上がっている動画ファイルのリンクを直接参照させて、編集させてみた。確かに編集はされたようだが、結果的にはこの機能は動作していない。以下チャットのやり取りが面白いので掲載しておく。

作業はしたが人間は確認できないという状況に 作業はしたが人間は確認できないという状況に

 編集はされているが、それを見る方法はないという。ではなんのために編集したのか。トークンやら電気やらを無駄に消費しただけで終わっている。本来ならちゃんと動くから正式リリースしたのだろうが、使用環境に原因があるのか。AI連携は靴の上から足をかくようで、一旦何かがダメになるとユーザー側では対処しようがない。

 Adobeが提供する専用ツールと、ChatGPTのような汎用エージェンティックAIとの連携は、誰でも高度な機能が使えるようになるという点では、未来があるように思う。ただ現時点では最低限の機能しか動いていない。色々いじってみる楽しさはあるのだが、クリエイターにとっては最終的な成果物が手に入らなければ意味がないので、各アプリで手を動かしたほうが確実ということになる。

 そもそもエージェンティックAIを使って何をやらせるのかというところも、実際にはまだ固まっていないのではないか。個人的には、アイデア出しの部分では効果が高いように思う。また大量のファイルに対して同じ処理をするようなケースも有用だろう。

 一方で1点ものを最後まで仕上げるという作業に対しては、AIとの対話では難しいように思う。そこから先は、製作者が自身の手を動かしながら、自分自身との対話の中で生まれていくものだからだ。

 全ての機能をAI連携に載せるよりも、何をさせたら効率的なのかの交通整理が必要なように思う。

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

小寺信良の「プロフェッショナル×DX」

クラウド活用にリモート編集環境と、映像にまつわるプロフェッショナルの分野にDXの波が押し寄せている。プロの現場で何が起こっているのか。最新のITトピックを小寺信良氏が解説する。

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR