価格高騰が変えた法人PC調達 「売上2倍」のリユースPC事業者が見た需要の変化(2/3 ページ)
「安いから」だけでは選ばれない
こうした状況の中で、リユースPCを検討する企業の層も変わりつつあると藤井氏。「そもそも新品しか検討してこなかった企業が、リユースPCを調達方法として選ぶ時代に入ってきている」という。
ただし、顧客の判断基準は安さだけではない。「価格高騰でPCのコストを下げたい、という理由で新規の問い合わせが増えた。ただ、最終的な判断は、サポートや保証が大丈夫か、実際に業務で使えるのか、という比較になる」。安さは入り口にすぎず、決め手は別のところになると藤井氏はみる。
この読みは同社による先述の調査結果でも裏付けられている。リユースPCの導入理由を尋ねた設問(導入企業199人、複数回答)では、1位が「必要な性能・スペックを満たしていたため」の48.7%。「保証・修理対応が充実していたため」(38.7%)が続き、「新品より導入費用を抑えられるため」(38.2%)は3位にとどまった。
性能や保証が安さを上回り、コストは決め手の一つではあるものの、最大の理由ではなくなっている。個人利用と違い、少なくとも3~5年は使う前提だからこそ、業務に足りる性能か、その間に何かあっても保証を受けられるかが、調達の判断を左右するという。
Windows 10終了が買い替えを後押し
この需要をさらに押し上げたのが、25年10月のWindows 10サポート終了だ。藤井氏は「買い替え需要として非常に大きな影響が生まれている」といい、価格高騰を背景に伸びていた販売が、市場全体の拡大とともにもう一段加速したという。
「今まで、保証面で不安を覚えていた企業が、Windows 10の入れ替えでPCを購入しなければいけないタイミングで選んでくれたケースが多かった」といい、これまで不安からリユースPCを見送っていた層が流入していると藤井氏。同社ブランドのR∞PCで提供する、期限を区切らず修理などに対応する無期限保証が需要の受け皿になったとみている。
そして、この波はまだ終わっていないという。先の「法人PC調達実態調査」では、勤務先にWindows 10端末が残っていると答えた回答者が49.0%。アイルランドのアクセス解析サービス「StatCounter」によると、26年7月時点でも日本のデスクトップ向けWindowsの21.74%をWindows 10が占める。
セキュリティ更新を受け続けられる延長プログラム(ESU)も、個人向けは27年10月に期限を迎えるため、「Windows 11に対応した、手頃な業務用PC」を探す動きはすぐには終わらないとみる。さらにメモリ・SSD高騰が発生し、需要を後押ししている形だ。
実際、リユースPCの利用は着実に広がっているという。同調査では回答者の59.0%が勤務先で既にリユースPCを利用していると答え、規模別に見ると49人以下の企業では37.5%、300人以上では64.7%に上る。法人の調達手段として、既に珍しい選択肢ではなくなりつつあるといえる。
「同じ機種でそろえたい」に応える供給力 大学向けに2000台の実績も
もっとも、リユースPCを選ぶ企業が増えても、肝心の商品がなければ法人調達の選択肢にはなれない。法人が求める数十台、数百台といった規模になればなおさらだ。
リユース品は、誰かが手放して初めて商品になる。需要が約2倍にまで膨らめば、仕入れにも支障が出そうだが、現時点では問題ないと藤井氏。同社の仕入れ先は企業や官公庁からの放出品や、リース期間を終えた「リースアップ品」が中心。リース会社やデータ消去を手掛ける事業者ともつながりがあり、買い取りからデータ消去、販売までを担うケースもある。そのままでは使えないPCも解体して部品を活用するため、在庫は充実しているという。
企業や大学による「同じ機種で10台~数千台そろえたい」というニーズにも対応できる状態と自信満々だ。「生産から仕入れ、販売まで一貫して提供しているところが強み。特定のメーカーに限定されず、さまざまなメーカーのPCを扱うことで、用途や予算に応じた提案ができる」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
日本人の大腸がん、約半数に“腸内細菌の毒素”が関与 40歳以下の発症は7割 東大・阪大が200人を全ゲノム解析
-
2
「コミューン」不正アクセスでLINEヤフー、Sansan、パナソニックでも会員情報漏えいの可能性
-
3
「お前たちのクラウドはわれわれのもの」 IDCFクラウドの管理画面に出た攻撃者のメッセージ 内容に運営元は
-
4
履歴書100通に1通「AIだけが読める文字」 20万件調査でわかった“就活ハック”の手口 米研究
-
5
「男は狩り、女は採集」はどこまで本当? 約8割で女性も狩り、乳児連れの例も 過去100年の狩猟採集社会を調査
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
JR東日本、「えきねっと」「ビューカード」などで漏えいか メルアドなど最大609万件 IDCFへの不正アクセスで【追記あり】
-
8
IDCFクラウド障害、親会社のソフトバンクが顧客窓口に 調査・復旧も支援
-
9
山中で遭難の16歳少年、登山計画に生成AI「Claude」利用 救助隊は「ルートの妄信」警鐘
-
10
SBI証券、Google・Appleパスキー乗っ取り被害「確認されていない」 注意喚起は他社事案
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR