「社用PC高すぎ、中古品使おう」の注意点 潜む“前の持ち主の亡霊”リスク 立命館・上原教授に聞く(1/3 ページ)
PCは業務に不可欠な備品の一つだ。しかし近年、半導体やメモリといった部品の価格が上昇し、PC本体の価格も値上げが続いている。この結果、企業・組織が確保した予算内では調達が困難なケースも生じている。
そこで注目を集めているのが、中古PCの活用だ。必要なスペックを満たしたPCをコストパフォーマンス良く手にできるが、一方で、安易に中古PCを導入すると、思わぬセキュリティリスクを招く恐れもある。どんなポイントに留意すべきかを、セキュリティに詳しい立命館大学情報理工学部の上原哲太郎教授に尋ねた。
MS-DOS時代から起こっていた、中古PC経由の情報流出
できれば新品のPCを使いたい、しかし予算がどうしても足りない──そんな時の代替策として、中古PCは、秋葉原の店頭や家電量販店などを介して長年にわたって一部で導入されてきた。
だが知られている通り、HDDやSSDに保存されたデータは、OSやファイルシステム上で消去したり、フォーマット処理したりしただけでは完全には消去されない。これによりPCの売り手と買い手、双方にセキュリティリスクが生じうる。
まず売り手のリスクについては「中古PCを起動したら、前の持ち主のデータが見えてしまった」といった問題が古くから発生してきた。「それこそ、MS-DOSの時代から起こってきたこと」と上原教授も話す。
いまだにこの種のインシデントは後を絶たない。記憶に新しいところでは、2019年、神奈川県で個人情報や機密情報を含む行政文書の保存に用いられていた中古のサーバ用HDDから情報が漏えいした事件が発生している。
ただ、上原教授によると、こうした形で情報漏えいが起こる確率はそれほど高くないという。
上原教授は2000年代に東京電機大学と共同で、実際に店頭でいくつか中古のPCやHDDを購入し、データの復元が可能かどうかを試す研究を実施したことがあったが、「結論としては、できるケースはほとんどなかった」という。
理由は、中古PC・中古HDDを扱う販売業者側が、中古経由での情報漏えいが発生しないよう、完全にデータを消去するツールや手順に従って整備しているからだ。「いわゆるジャンク品を除けば、どの会社も再販時にはかなり気を遣って消去している」(上原教授)
例えば、日本ソフトウェア協会の下にある「データ適正消去実行証明協議会」(ADEC)では、データの適正な消去方法に関する基準を作成するとともに、そのプロセス通りに消去作業が行われているか監査し、認定を行っている。上原教授はその認定委員会の委員を務めている。
他にも、データ消去専門ツールを提供するフィンランドBlancco社では、「最初から最後までエラーなくデータ消去が完了したこと」を示す「消去証明書」を発行する仕組みも提供している。
従って、意図せぬ情報漏えいに遭遇しないためには、こうした認定を得た事業者を介して売買し、データ消去の証明書を確認することが重要だ。逆に、ネットオークションなどを介した個人間での売買には、先述した神奈川県の一件のように、一定の注意が必要になると言える。
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