分かりにくいけれど面白いモノたち

風速15mでも裏返らない晴雨兼用傘、アンベル「タフネス アンチフリップ」開発者に聞く「全天候での安心感」を支える技術(1/5 ページ)

 傘専門メーカーのアンベル(愛知県名古屋市)が発売した晴雨兼用折りたたみ傘「TOUGHNESS ANTI-FLIP(タフネス アンチフリップ)」は、少しずつ進歩してきた傘というツールが、次のフェーズに入ったことを示す製品なのではと思っている。これまで、急な雨など「いざという時のツール」というイメージから抜け出せなかった傘を、都市の過酷な天候から身を守る手段にするという、傘メーカーからの大きな提案。

アンベル「タフネス アンチフリップ」は7700円。晴雨兼用で、自動開閉や「秒速プリーツ」を搭載する。色は、ブラック、クラウドブルー、ムーングレイ(写真)、セピア、スノウの5色

 日傘が女性の日焼け防止アイテムから、夏の陽射しから命を守るツールとなって、高機能の晴雨兼用傘の重要性がついに理解された感のあるここ数年。20年くらい前に、某セレクトショップの社長と「どうやったら男性に日傘を持たせられるか」について真剣に話し合っていたことを懐かしく思い出す。結局、強過ぎる陽射しと35℃を超える気温が、簡単に問題を解決してしまったわけで、「北風と太陽」や「太陽と戦慄」がリアルに感じられたりして。

「タフネスアンチフリップ」の日傘としての利用

 従来の晴雨兼用傘は、UVカット100%、遮光率98%以上なら十分高機能だったし、去年はまだ男性の多くは雨傘を日傘代わりにしていた。しかし今年は男性も当たり前のように遮光率100%、遮熱率50%で、色も白や明るい色のものを使うようになっている(女性は既に4年前くらいから、そのくらいのスペックを標準にしていたと思うが)。

 ただ、遮熱率というのは結局のところ、布地の厚さに拠るところが大きく、コーティングやフィルムでは限界がある。だから遮熱率を上げようとすると、傘は重くなってしまう。折り畳み傘は携帯性が重視されるため、あまり重いと売れないということがある。某メーカーの調査では、特に男性は軽さを購入の基準にする人が多いという。実際、ゲリラ豪雨などもあって、既に1年中、毎日のように持ち歩く道具となっているので軽さは重要。

 軽くすることに徹すると、例えば自動開閉機構は採用できないし、耐風性能も高くできない。もちろん日傘としても、また豪雨への対応も難しい。しかし、それらの機能は全て、重さや大きさを必要とするから、どの辺でバランスを取るかというのがメーカーの腕の見せどころだし、ユーザーの選択ポイントになる。

Knirps「T.220RS Cube Gray」(上)と、サーモス「COOL遮熱 日傘 高遮熱タイプ」(下)

 長く傘ライターをやっている私が見たところでは、今年の製品だと、遮熱が重要なら、他の機能はほぼ捨てて遮熱に全振りしたサーモスの「COOL遮熱 日傘 高遮熱タイプ」(8800円、26年製造分は完売)、重さを気にしないならオーバースペックなくらい作り込まれたKnirpsの「T.220RS」(1万1000円)のなるべく明るい色(オススメはCube Gray)、性能と重さのバランスと使い勝手の良さならアンベルの「HEATBLOCK VERYKAL 秒速プリーツ」(7150円)がベストチョイスだと思う。けれど、他のメーカーもちゃんとした製品の場合はそれほど大きな性能差はなくなってきている。

 だからこそ、今年のアンベルの新製品は「秒速プリーツ」という“畳みやすさ”やカバンなどへの“収納しやすさ”を追加して、傘そのものの性能だけではない付加価値を付ける製品を投入している。秒速プリーツに関しては、後で詳述するけれど、この“畳みやすい傘”は使ってみるとかなり便利なのだ。

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ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。

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