分かりにくいけれど面白いモノたち

風速15mでも裏返らない晴雨兼用傘、アンベル「タフネス アンチフリップ」開発者に聞く「全天候での安心感」を支える技術(2/5 ページ)

 性能競争がやや飽和した感のある中、アンベルが夏の終わりに投入したのが、タフネス アンチフリップ。商品名の通り、強風でもひっくり返らない傘だ。これまでの傘の耐風機能は、いくつかの例外を除くと、強風が傘の内側に入り込んだ場合、よく骨がしなることで風を外に逃がし、それでも逃がしきれなくてひっくり返ってしまっても、しなる素材の骨なので傘自体が壊れにくいというものが主流。なので、軽くてよくしなり、しかし丈夫なグラスファイバーやカーボンの骨が使われることが多い。

 別の耐風機能を搭載した傘もあって、それらもかなりの強風でもひっくり返ることなく、風に対抗する。昔からある方法としては、ダブルキャノピー型と呼ばれる、傘の一部が二重になっていて、傘の内側に入ってきた風を、二重になっている部分が浮いて外に逃がす構造。傘の一部に小さな穴を空けて風を逃がすタイプも、この方法のバリエーションといえる。この方法は、かなりの強風にも対応するけれど、風を逃がす時に雨が降り込むことがあるし、やや畳みにくいという欠点もある。

独特のフォルムだが耐風性能は抜群の「SENZ」

 個人的に最も耐風性能が高いと感じたのは、オランダのSENZの傘で、どんな強風でも風が傘の中に入り込むことがなく、風で傘を持っていかれそうになることもなかった。ただ、前方が短く、後方が長い特殊な形状で、身体をカバーする範囲がやや小さく、また畳む時に2カ所でベルトをとめる必要があるなど、やや使い勝手が悪かった。

骨が突き出さず、傘の端が丸い構造がとても優しいオランダの耐風傘の折り畳みモデル「BLANT XS」

 ニュージーランドのブランド、BLANTの傘は、親骨を傘の布から少し浮かせて縫製する独自の構造と、傘の先にポケットを設けて、そこで風の力を分散させるというアイデアで、傘の中に入り込んだ風を上手く受け流す独特な耐風傘。かなり完成度が高かったと思う。ただ、構造上、折り畳み型にしても畳んだ状態でもかなり長く、その割にさした時の直径が小さいなどの欠点もあった。

形状が従来の傘と変わらない

 タフネス アンチフリップが画期的なのは、その形状が従来の傘と変わらないこと。内部の骨の構造を見ると、ちょっと違うことはすぐに分かるのだけど、少なくとも外見や畳んだ時の形、使い勝手などで「あれ?」という部分はどこにもない。それなのに、強風にさらされた時の振る舞いは、従来の傘とは全く違う。

「タフネスアンチフリップ」の元骨と中骨の接続部分

 アンベルの代表で傘クリエイターの辻野義宏さんは「構想のきっかけは24年の夏頃、都内で日傘をさす人々が強風で傘を裏返され、慌てて元に戻している姿を何度も目撃したことです」と話す。

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ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。

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