分かりにくいけれど面白いモノたち

風速15mでも裏返らない晴雨兼用傘、アンベル「タフネス アンチフリップ」開発者に聞く「全天候での安心感」を支える技術(4/5 ページ)

 アンチフリップを、強風で有名な中野坂上の交差点で使っていると、強い風が吹いた時、傘が上向きに持っていかれるのではなく、「グンッ」と上から押されたような感触になる。この場所は、強風時にはみんな傘を畳んでしまうくらい風が強く、Knirpsの傘でどうにか持ちこたえるか、それでも無理な時があるのだけど、アンチフリップ試用時に、裏返ってしまったのは、本気で身体ごと飛ばされそうな突風の時一度きりだった。しかも、折り畳み傘としてはグリップが大きく握りやすいので、突風に対しても飛ばされるのが心配になるということもない。

 「傘の先端にあたる『先親骨』には、従来のしなり(柔軟性)をあえて残しています。全体を過剰に固めるのではなく、先端で適度に風を受け流しつつ、中心部のヒンジで根元の反り返りを抑えることで、強い風が吹き込んでも安定した操作感を保てるように設計しています」と辻野さん。

傘の一番外側になる先親骨部分は、しなるように作られている

 アンベルの実証実験では、風速15m/sの風でも裏返らず、風速30m/sの風でも壊れなかったという。私も愛用しているknirpsの「TS.220」は、風速41.6m/sでも壊れないとしていて、長く使っている私も壊れた経験がないが、体感では突風だと、風速15m/s以下で裏返ることがあると感じている。

 一方、同程度の風でもアンチフリップは裏返らなかった。もちろん、風向きなどもあるし、一概には言えない。また、壊れにくさで言えば、7本骨のアンチフリップより、8本骨のTS.220の方が強いかもしれない。ただ、裏返りについては、春一番や台風時には風速20m/s近い風が吹く中野坂上交差点での体感なので、個人的な感覚ではあるが、それなりに説得力はあるのではないだろうか。

 そして、アンチフリップの面白さというか、アンベルらしさというか、傘というソリューションはここまで来たと感じるのは、この傘が、耐風性能に特化した傘ではないということ。「アンチフリップ構造」は、骨やパーツの部品数も増えるし、それだけでも重くなりやすいのに、あえて自動開閉機構を搭載し、サイズも使用時直径97cm(しかも7本骨なので6本骨の同じ大きさの傘に比べて、カバー範囲は広くなる)と風を受けにくいように小さくすることをせず、もちろん、遮光率100%、UVカット100%、遮熱効果率はブラックでも最大81.6%と日傘の性能も妥協はない。

ボタンを押して自動開閉機能で畳んだら、このように折り目に沿った状態になる「秒速プリーツ」搭載

 さらに、最新機能の「秒速プリーツ」も搭載した上に、畳む時にシャフトを縮める際の安全性を高めるため、シャフトを最後まで押し込まなくても、手を放したところで止まる「飛び出し防止機構」も採用している。個人的には、この飛び出し防止機構があるのがとてもありがたい。自動開閉でこの機構を搭載している折り畳み傘は、Knirpsなど数少ないメーカーにしかないのだ。

 「折り目を記憶する『秒速プリーツ』と『自動開閉』を組み合わせることで、畳む際の手間を最小限に抑え、快適な使用感を実現できます。また、手開きタイプはすでに『TOUGHNESS』で展開しているため、製品としての棲み分けの意味合いもあります」と辻野さん。

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

分かりにくいけれど面白いモノたち

ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR