分かりにくいけれど面白いモノたち

風速15mでも裏返らない晴雨兼用傘、アンベル「タフネス アンチフリップ」開発者に聞く「全天候での安心感」を支える技術(3/5 ページ)

 そこで、既存の耐風傘を分析したところ、主に2つの課題があることに気がついたのだそうだ。それは「ひっくり返っても壊れない」タイプの傘の場合、傘自体は壊れなくても「裏返ること」そのものがユーザーにとって大きなストレスになっているということ。実際、その手の傘のユーザー評価でも、ひっくり返ることへの不満を目にすることが多い。ひっくり返ったら、傘としての機能を果たしてくれなくなるし、傘自体が風に持っていかれそうになるのも、使っていて怖いところだったりする。

 特殊形状や特殊構造のタイプの場合は、耐風性はあるものの、畳みやすさや持ちやすさといった普段使いの利便性が損なわれやすいというのは前述した通り。耐風のための特殊形状や構造は、とても興味深いしアイデアも詰まっていて、製品としての魅力はあるのだけど、強風時以外での使い勝手が損なわれては本末転倒というか、普段遣いにはしにくい。

 「慣れ親しんだ普通の傘のスタイルと使いやすさを保ちながら、裏返るストレスそのものを解消できないか、と考えたことが、アンチフリップ構造の開発につながりました」と辻野さん。

 それを実現した「アンチフリップ機構」のイメージは、YouTubeで動画を見ることができるので、それをまず見てほしいのだけど、ポイントは、元親骨(骨のシャフト側に近い部分)と中親骨(先端部分と元親骨をつないでいる部分)の間に配した独自構造のヒンジだ。強風を傘の中に回り込んだ風が外に出ようとすることで傘が裏返るのだが、外から傘に当たる強風の力で独自ヒンジが傘の骨を内側に引っ張るという構造になっている。そのため、傘内部の風は傘を裏返すことができず、傘の下から外に逃げていくわけだ。

独自構造のヒンジ部分。このパーツがひっくり返ろうとする先端部を引っ張り戻す役割を果たす
独自ヒンジのない「HEATBLOCK VERYKAL 秒速プリーツ」の元親骨と中親骨の接続部分

 方法としては、BLANTの親骨を傘に縫い付けず、風を内部で受け流すことで傘の下から外に逃がす構造に似ているけれど、「アンチフリップ構造」では、ヒンジを使うことで、骨自体を風の力で内側に引っ張ることで、より確実に裏返りを防いでいるわけだ。また、糸でつないでいるBLANTと比べて、耐久性も高そうだ。

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ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。

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