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Rambus、DRAMカルテルの証拠提出命令を勝ち取る

» 2005年02月24日 14時38分 公開
[IDG Japan]
IDG

 メモリ設計企業の米Rambusが韓国のHynix Semiconductorを相手取って係争中の特許侵害訴訟で、Rambusは決定的証拠となるであろう文書の提出を求める命令を勝ち取った。

 裁判所はHynixに対し、DRAMメーカー各社による秘密のカルテル(Rambusによれば、この連合は「JRA Group」と呼ばれている)の詳細を明らかにしているとされる文書の提出を命じた。

 裁判所はさらに、Hynix、Micron Technology、Infineon TechnologiesのDRAMメーカー3社を含む半導体メーカー数社が2000年8月に締結したとされている共同の防衛協定に関する詳細をRambusに対して明らかにするよう命じた。

 Hynixは共同防衛協定を盾に、こうした文書の提出は免除されるものであり、提出する必要はないと主張していた。これらの文書には、Rambusとその特許をめぐり、Hynixと競合他社との間で交わされた通信内容が含まれると見られている。

 Rambusの上級副社長兼顧問弁護士のジョン・ダンフォース氏は、次のように語っている。「『共同防衛』の名のもとに伏せられているこうした文書の内容をわれわれが知ることはできないが、どうやら、Rambusとその特許に関する被告企業同士の綿密な連携ぶりを示すもののようだ。これらの文書の日付も重要だ。文書の日付は、Rambus技術を使った新しいDRAM製品の設計より先行しており、DRAM企業とその幹部4名の最近の有罪答弁によれば、その時期は、一部のDRAM企業の間で競争を排除するための犯罪的な陰謀が図られていた時期と一致する」

 Rambusは1990年代初頭、高性能メモリ技術としてRDRAMを設計した。だが同社は、DRAMメーカー各社がRDRAMメモリの価格を高く保ち、彼らが推奨しているSDRAMチップの価格を低く抑えるために共謀したと主張している。RambusはこれらのDRAMメーカーがDRAMの価格を不当に操作したと主張し、また彼らのSDRAM技術は実のところRambus技術を使ったものでRambusの特許侵害にあたるとして訴訟を起こしている。同社はRambus技術の使用に対して、特許権使用料を回収したい考えだ。

 訴えられているDRAMベンダー各社は、SDRAM標準が策定された時点で、Rambusは同標準の策定委員会に対し、同標準の一部の技術に対する特許を同社が有していることを知らせなかったと主張している。Rambus対Hynixの特許訴訟では、判事が先の判決で、HynixのDRAM製品はRambusの29件の特許を侵害しているとする略式判決を下している(1月21日の記事参照)

 Infineonは先ごろ、独占禁止法訴訟で罪を認め、1999年7月から2002年6月までの期間、DRAMメーカー各社と共謀して価格操作を図ったことを認めている。Infineonの幹部4名が、この罪で懲役に処せられた(12月3日の記事参照)

 報道によれば、Samsung ElectronicsはDRAMの価格操作をめぐる賠償を命じられる可能性を見越して、1億ドルを確保しているという。

 Rambusはさらに、DDR2メモリの製造で同社特許を侵害したとして、Hynix、Infineon、Inotera Memories、およびNanya Technologyを訴えている(1月26日の記事参照)。同社は現在市場に出回っているDDR2、GDDR2、GDDR3デバイスで、これらの企業が同社の最高18件の特許を侵害していると主張している。

 SamsungはこのDDR2特許侵害訴訟には含まれていない。同社はXDRメモリ製品にRambus技術を使用するためのライセンスを取得している。

 Hynix対Rambus訴訟の審理は4月11日に開始される予定だ。

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