「MSのWGAはスパイウェア規制法違反」と集団訴訟
米カリフォルニア州の男性が、Microsoftを相手取り集団訴訟を起こした。同社の不正コピー対策機能「Windows Genuine Advantage(WGA)」がスパイウェア規制法に違反していると訴えている。
ロサンゼルスに住むブライアン・ジョンソン氏は、6月26日にシアトルの連邦地裁に訴状を提出、MicrosoftはWGAが4月にアップグレードされたときに、そのすべての情報を適切に開示しなかったと申し立てている。WGAは広範囲に及んでいるWindowsの不正コピーを阻止するための技術。
WGAが最初に導入されたのは2004年だったが、訴状では、この機能がスパイウェアのようになったのは、海賊版Windowsを使っている可能性のある人間を特定するために、Microsoftのサーバと通信するシステムが取り入れられてからだとしている。
このアップデート版WGAには、「WGA Validation」と「WGA Notifications」の2つのコンポーネントが含まれている。これらはそれぞれ、海賊版Windowsであるかどうかの判定と、海賊版を使っているとMicrosoftが判断した人物への警告を行う。だがWGA NotificationsはMicrosoftのサーバに毎日のように「コールバック」することが分かり、Microsoftがこの機能をWindowsユーザーの監視に使っていると考える人々の間で議論が巻き起こった。
Microsoftは6月27日、WGAからこの通知コンポーネントを削除することに同意し、大きな変更を加えたアップデート版をAutomatic Updatesを介してWindows XPユーザーに配布すると発表した。これまで、WGA NotificationsがインストールされたPCは、ログインのたびにサーバ側の構成をチェックし、WGA Notificationsを実行するべきかどうかを判断していた。アップデートされたWGA Notificationsからはこの構成ファイルのチェックが削除された。
同社は、WGA Validationは今後もWindowsが正規版かどうかを定期的にチェックするとしている。
ジョンソン氏は訴状の中で、Microsoftは定期セキュリティアップデートの一部としてWGAの問題のコンポーネントがインストールされることを十分にユーザーに通知しておらず、これはカリフォルニア州およびワシントン州のスパイウェア規制法に違反すると主張している。この申し立ての通り法的責任が認められれば、同社は罰金の支払いを命じられる可能性があるが、この訴訟は主に、Microsoftがこの先同様の戦略を取るのを禁じること、同社がアップデートに関するすべての詳細情報をユーザーに完全に通知することを求めている。
Microsoft関係者は、WGA Notificationsを含むセキュリティアップデートに添付された利用許諾書の中で、同機能の説明が不十分だったという原告の主張を否定した。
「これらの申し立ては益のないものであり、この(WGA)プログラムの真の目的をゆがめて伝え、真の問題――不正コピーにより消費者が被る害――を見えなくしている」とMicrosoftの広報担当者ジム・デスラー氏は語る。「顧客から建設的なフィードバックを受け取っている当社のすべてのプログラムと同様に、WGAは進化してきたし、当社も改善を加えた。当社は顧客とのコミュニケーションを改善する努力を続ける」
ジョンソン氏の弁護士で法律事務所Kamber & Associatesのスコット・カンバー氏は、ジョンソン氏はこの訴訟で有名になることやお金をもらうことを求めてはおらず、Microsoftの開示方針を改善させたいのだと話す。カンバー氏は、この訴訟はWGA Notificationsを、ユーザーの個人情報を盗もうとするもっと有名なタイプの不正なスパイウェアと結びつけようとするものではなく、単にMicrosoftに製品アップデートの情報をもっと詳しく開示させようとしているだけだと語る。
「われわれの依頼人が懸念しているのは、セキュリティアップデートの一部としてインストールされたものが、実際に不正コピーを防ぐためのものなのかということだ。Microsoftが同社の知的財産を守ることができるという点に何ら問題はない。だが、ユーザーのコンピュータにソフトをインストールしなければならないのなら、それには完全な開示が伴わなくてはならない。Microsoftがアップデートのリリースを決定したことで、この申し立ての妥当性は立証されたと考えている」(カンバー氏)
カンバー氏は、rootkit技術採用をめぐってSONY BMGに対して起こされた訴訟に関わったこともある。同氏は、顧客には製品情報を完全に通知し、インストールを望まない機能を除去することを認めなくてはならないと語る。同氏によると、ジョンソン氏は、ユーザーがこの先、WGA Notificationsのような隠し機能が付いてくることを恐れて、セキュリティアップデートをダウンロードするのを怖がるようになるのではないかとまで懸念しているという。
「最大の懸念は、セキュリティアップデートをインストールする意欲を削いでしまう可能性があるということだ。そうなれば米国のコンピューティング基盤が大きな影響を受けるだろう。結局は人々をもっと大きなリスクにさらすことになる。WGAをセキュリティアップデートとして提供することは、エンドユーザーのMicrosoftへの信頼に大きく反している」(同氏)
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