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Mac OSの新機能にプライバシーの懸念

» 2006年07月07日 16時38分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 あなたのMacは「家(Apple)に電話」しているだろうか?

 デスクトップウィジェットの認証を支援するアップデート版Mac OS X(バージョン10.4.7)をインストールしたAppleユーザーの一部から、こんな疑問が飛び出している。少なくともあるブログによると、ユーザーのデスクトップウィジェットを特定・認証するAppleの機能が、新たなプライバシー問題をもたらした可能性がある。

 ウィジェットは、エンドユーザーにさまざまな種類の情報を提供するよう調整できる軽量デスクトッププログラム。一般的な用途には天気予報ページやCNNやMySpaceなどの特定のサイトへのリンクなどがある。

 Appleの最近のアップデートで導入された新たなセキュリティ機能「Dashboard Advisory」は、ユーザーがダウンロードするウィジェットが正規のものであり、開発元である同社の認証を受けていることを保証するために設計された。

 Red Sweaterブログでは、一部のMacユーザーが、知らないうちにAppleが顧客の情報を集め始めたと懸念を示している。

 「Appleは先週Mac OS X 10.4.7をリリースした。それをインストールしてから、控えめにAppleと通信していることに気付いた」とあるブロガーは7月3日に記している。

 別のブロガーは、「この(Dashboard AdvisoryのAppleサーバへの)アクセスにそれほど害はないように見えるが、Appleはユーザーにアクセスの許可を求めるか、少なくともこの機能のことをライセンスに明記するべきだ」と述べている。

 また別のコメント投稿者は、このアクセスの目的について疑問を呈している。「Appleとの通信はさておいて、この『サービス』の土台にあるのは何なのか――われわれに『悪質な』ウィジェットのことを教えるためなのか? もしそうなら、誰が悪質なウィジェットを判断するのか?」

 Mac OSをめぐるこの論争は、デリケートな時期に起きた。このところITベンダーによる(特に警告なしで)オンラインコンピューティング活動の追跡が、ユーザーの怒りを招き、訴訟の引き金になっている。

 Microsoftは6月末から、海賊版対策ソフト「Windows Genuine Advantage(WGA)」の機能に関して2件の集団訴訟を起こされている(7月6日の記事参照)。この機能は、Windows XPを走らせているコンピュータとMicrosoftのサーバをリンクさせる。

 カリフォルニア州の住民がシアトルで起こした訴訟では、海賊版Windowsを使っているユーザーを突き止めるためのWGA Notification機能は、Microsoftのサーバとひそかに通信しているため、連邦スパイウェア規制法に違反していると申し立てている。この訴訟の争点となっているのは、Microsoftが顧客に十分な説明をせず、またこの機能をオフにする選択肢も提供せずに、この機能をセキュリティアップデートの一部としてインストールしたことだ。

 Microsoftは後に、WGAをアップデートして問題の通知機能を削除した(6月28日の記事参照)

 Gartnerのアナリスト、ジョン・ペスカトーレ氏は、エンドユーザーのセキュリティとプライバシーの懸念のバランスについて議論が高まっている時に、このような実態が明らかになったと指摘する。

 同氏は、MicrosoftやAppleなどの企業にとって最善の選択肢は、顧客にすべての機能を明確に説明し、オプトアウトする選択肢を提供することだと語る。

 「こっそり入り込むのは、とにかく間違っている」とペスカトーレ氏は7月6日に語った。「こそこそしなければならないというのが間違っている」

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