米Microsoftは「Virtual PC」のIntelベースMac向けバージョンの開発を進めないという決定を下したこと、「Office for Mac」次期版でVisual Basic(VB)スクリプトサポートを打ち切ることを明らかにした。
Virtual PC for MacはもともとPowerPCプラットフォーム向けに開発されたため、それをIntelに移植するには、ゼロから作り上げるのと同じくらい時間がかかるとMicrosoftのMacintosh Business Unit(Mac BU)製品管理・マーケティングディレクター、スコット・エリクソン氏は8月7日に語った。
「ほかの選択肢が市場に出回っていることを考えると、それは顧客には受け入れられない長さだと感じた。取り組みを合理化することで、Officeやその他の中核プロダクティビティ製品に集中できる」(同氏)
その一方で同じく7日に、Apple Computerのスティーブ・ジョブズCEOがサンフランシスコのWorldwide Developer Conference(WWDC)で最新OS「Leopard」の詳細を発表した(関連記事)。
Appleは既存顧客向けに引き続きVirtual PCの技術サポートを提供し、PowerPCマシンを利用する顧客に対して同製品の販売を継続するとエリクソン氏は言う。
次期版Office for MacでVBスクリプトのサポートを打ち切るという決定は、VBをIntelプラットフォームに移植するのにかかる時間と、Apple ScriptやAutomatorなどのAppleベース技術のサポート増強に関連していると同氏は説明する。
「これには、OfficeのVBスクリプトを開発した開発者数人による追加作業が必要になるが、この長期的なソリューションとApple技術のサポートにはその手間をかけるだけの価値がある」(同氏)
クロスプラットフォーム互換性は依然としてMicrosoftの最優先課題であり、Office for Mac次期版開発にあたっては、2007 Microsoft Office System for Windowsを含め各種プラットフォームとのファイルの互換性を引き続き確保すると同氏は語る。
しかしファイル内のVBマクロは利用できなくなり、ユーザーはそれを閲覧したり修正したりできなくなる。だが、ファイル自体はマクロに影響を与えずに編集することができる。
エリクソン氏は、Microsoftの調査によると、VBの利用は非常に少なく、開発者はMacではほかのスクリプト言語(AppleScriptやAutomatorなど)を、PCでは.NETベースのスクリプト言語を支持するようになっていると語る。
Mac BUは、開発者のVBからの移行を手助けするリソースを提供することにも取り組んできたと同氏は語り、Office for Mac次期版の機能について話すのは時期尚早だが、「VBからAppleScriptに移行する開発者のためにオンラインリソースを作成し、公開するつもりだ。われわれはAppleのWWDCで多くの顧客と会っており、Webリソースを当社サイトで公開する予定だ」と付け加えた。
エリクソン氏はまた、AppleがIntelベースMacへの移行を完了する一方で、Mac BUはこの新しいプラットフォームに徐々に移行し、Macユーザーのニーズにあったソリューションを提供するべく前進してきたと語る。
同氏によると、ユニバーサル版Office for Macに向け、数千万行のOfficeコードがXcodeに移行された。またWindows向け新版Officeのリリース後に、ユーザーが現行版Office for Macで新しいMicrosoft Office Open XMLフォーマットを読み込めるよう、無償ダウンロードできる変換プログラムを提供する予定だという。
またMac BUは年内に「Microsoft Messenger for Mac 6.0」をリリースする。これにはMessenger for MacとYahoo! Messengerの相互乗り入れ、カスタマイズされた顔文字、スペルチェックなどの新機能が搭載される。
「われわれは、Macユーザーがネットワーク上のWindowsコンピュータにアクセスできるようにするRemote Desktop Connection(RDC)Client for Macの新しい無料のユニバーサル版も開発しているところだ。RDCの次期版は完全サポート付き無料製品としてリリースされる」とエリクソン氏は語り、立ち上げが近づいたらさらに詳しいことを明らかにすると付け加えた。
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