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ネットの行動ターゲティング広告めぐりバトルの兆し(2/2 ページ)

» 2008年03月28日 16時14分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 クーパー氏によると、NAIの規制ができたのは1999年の出来事がきっかけだった。当時DoubleClick(現在Googleに合併される途上にある)が合併を模索していたAbacusは、DoubleClickがネットで調べていた広告に対する消費者の反応を、オフラインで調べる会社だった。

 「あれは8年前だった。近年は大きく様変わりした。ビジネスモデル、技術、参入業者も変わった。全体の様相が劇的に変化した。この8年間の変化で、NAIの基準は成り立たなくなったと思っている。ある意味で、そもそもこれがふさわしくないと考える(人もいる)」(クーパー氏)

 ブロッドスカイ議員の法案と同様、NAIの「Self-Regulatory Principals」では、個人を特定できる情報(医療、資産、社会保障番号など)を広告業者がオンライン・プリファレンス・マーケティングに利用しないことを定めている。NAIは1月に米連邦取引委員会(FTC)と協力して、この規定の改訂を提案した。新規定では、適用範囲と執行、問題のある消費者特性、選択肢提示のための技術、消費者教育、個人を特定できる情報の利用基準、加盟業者拡大など多数の分野を網羅する。

 CDTのクーパー氏にとって、加盟業者の拡大は重要な問題だ。消費者保護のためには、自己規制に頼るよりも法制化、それも州ではなく連邦法の制定が必要だと同氏は言う。

 「(NAIという)規制組織が(改定版の)自己規制を提案しているのは、自己規制が機能していないことを物語るものだ。NAIに加盟しているのは業界の4分の1にすぎない。NAI加盟業者よりも、加盟していない業者の方が多い。加盟さえ説得できないのに、どうやって規制を守らせることができるというのか」

 ブロッドスカイ議員は、自分の法案の修正条項がNAIの規定そのままだという指摘にこう反論する。

 「(NAIに)似ているということはない。たくさんの人と話をした。いいアイデアを持つ人はたくさんいる」

 同法案は事実上の全米標準になるべきだとしながらも、ニューヨーク州の政治プロセスの中で法制化までのスケジュールがどうなるかは分からないとブロッドスカイ議員。「ほかの州でもできるものにしようとすることは理にかなっていると、業界には話している」

 GoogleやYahoo!のようなネット広告会社やネットメディア企業多数が加盟するInteractive Advertising Bureau(IAB)の公共ポリシー担当副社長、マイク・ゼニアス氏は、法律ができればどんなものであれ、ネット企業と消費者の双方にとってマイナスになると話す。IABはポップアップ広告削減のための規定作成に協力し、スパイウェア対策強化のための連邦法を支持してきた経緯があり、業界の自己規制の方が望ましいという立場だ。

 「真の懸念があり、真の解決策になると認めれば、われわわれも(法制化を)毛嫌いはしない。しかし隠された動機を持ち、広告が嫌いだという理由で広告を規制したがる人もいる」

 ブロッドスカイ議員の法案は解決どころか問題を生じさせるとして、ゼニアス氏は次のように語った。

 「実証可能な消費者の被害は存在しない。顧客は関連付け広告が悪いと言っているわけではない。実際はその逆だ。無作為な広告よりもいいと言っているのだ」

 IABに言わせれば、無料のインターネットには代償が必要であり、ネット広告は、ニュース、動画、ブログ、検索エンジンなど購読料を取らないほとんどすべてのコンテンツの副産物であり、これらのコンテンツは広告収入で支えられている。

 「(ネット広告は)消費者に直接的な恩恵をもたらす。消費者の被害というのは聞いていない」とゼニアス氏は話している。

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