目の前で動き回る恐竜をいろんな角度から観察する――まるで映画「ジュラシックパーク」のような世界を、AR(拡張現実)技術を使って体験できるイベントが3月10日、国立科学博物館(東京・上野)で始まった。その名も「よみがえる恐竜」だ。
展示コーナーの一角にある会場には、全長1.6メートルの骨格標本が置いてある。約1億6000万年前に生息していたという小型の植物食恐竜「オスニエロサウルス」の原寸大標本だ。
この骨格標本をインスタントカメラのような形をした専用のモバイルビューアを通して眺めると、現実空間の映像に、3DCGの恐竜が重なって出現。目の前に恐竜が見えるが、壁やほかの来場者など、背景に見える映像は現実そのまま――という“拡張現実”(AR)を体験できる。
恐竜は、体験者の足下まで歩いて近寄って来たり、緑や青色、縦じまなどさまざまな模様に変化。体験者は、恐竜をいろんな角度から眺めたり、後ろに回ってお尻を下からのぞきこんだりといったことが可能だ。
解説のCGパネルも出現し、恐竜の骨盤の形について学べるほか、解説音声も流れる。
現実とCGが合成される仕組みはこうだ。モバイルビューアには、2機のカメラとディスプレイ、傾きを検知するセンサーが搭載されており、PCに有線接続されている。骨格標本の周りの壁や台には33種類のマーカーが貼り付けられている。
モバイルビューアのカメラがマーカーを少なくとも1つ以上認識すると、PC側で、ビューアに対する標本の相対的な位置や大きさを特定し、現実の映像に恐竜のCGを合成。モバイルビューアのディスプレイに表示する。
複合現実技術(MR)を応用した博物館の展示方法の研究の一環で、国立科学博物館とメディア教育開発センター、キヤノンが実施する。
解説音声は、特定の空間にいる人だけに限定的に音を聞かせることができる超指向性音響システムを採用。別の展示を楽しんでいるほかの来場者には聞こえないよう配慮している。
記者も体験してみた。モバイルビューアは重さが約2キロあり、少し重いと感じたが、CGの恐竜をいろんな角度から眺めたり、骨格標本と見比べてみたりしながら夢中で楽しんだ。解説音声の終了までは約5分と短く、あっという間だった。
最後には恐竜と記念撮影も。標本のそばに立つ体験者をカメラで撮影し、体験者の横に恐竜のCGを合成した写真をプリントしてプレゼントする。
参加費は無料(国立科学博物館への入館料は必要)。3月15日まで、午前10時〜午後4時まで10分ごとに実施しており、1回に2人ずつ体験できる。すでに170人分の予約が入っており、休日は混み合っているため、平日がおすすめだ。
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