内部的にどのような処理がされているかについては、産総研がニコニコ動画に投稿したビデオが分かりやすいだろう(歌い方の変更や歌唱力の補正など、一部の機能はNetぼかりすには実装されていない)。
今後はまるごと1曲をNetぼかりすで、というのではなく、要所要所をNetぼかりすで代替することもできるのではないかと考えている。感情表現が必要とされる部分や、微妙なビブラートやこぶしなど、VSQをいじるのには時間がかかりそうな部分はNetぼかりすで、残りは素直にデフォルトのVOCALOIDで、といった使い分けもいいかもしれない。
そういうときには、Netぼかりすで取得したVSQファイルと別に新規トラックを作成し、Netぼかりすトラックの全イベントを選択&コピーし、新規トラックにペーストすると、DYNとPIT情報のないトラックが出来上がる。
ここでクォンタイズ機能を使ってタイミングを合わせれば、手軽に「ベタ打ち」のトラックができる。人間っぽい歌い方をするだけではなく、ベタ打ちの省力化もできるのだ。
Netぼかりすは発展形の技術だ。できるだけ多くのユーザーの声を吸い上げようとしている。産総研が最初にぼかりすのデモをニコニコ動画に投稿したのも、実際のユーザーやリスナーの反応を知りたかったからだ。
ぼかりすの機能をNetぼかりすに実装したヤマハY2プロジェクトのメンバーも同じだと思う。プロではないわれわれのようなアマチュアにさまざまなサンプルを投稿してもらい、その反応をみながら、機能を改良したり追加したりしていくのだろう。
わたしからの希望は、Macへの対応(CrossOver MacとMikuInstaller)。これはぜひに。せっかくWindowsなしでできる環境がMacユーザーに提供されているので、WebアプリのためにVM+Windowsを買い足すのは負担が大きすぎだ。ぼかりすの残りの機能、特に歌唱力補正機能も優先的に進めてほしい。これは、歌に自信のない人にとってとても便利なツールとなるはずだ。
ぼかりすが出てきた当初は、スゴ腕のボカロ使い(VOCALOIDユーザー)の立場がなくなるとか、ミクの魅力がなくなってしまうとかの意見があった。しかし、良いボカロ使いは、歌声が何かということを本質的につかんでいる人だと思う。
どのような歌声がいい歌声なのか。これだけ多くの人がボーカルという表現に正面から向き合った時代はかつてないはずだ。
VOCALOIDによるボーカルという表現、技術を分かった人、ボカロ使いが、さらに新しい技術であるNetぼかりすを使ってより高度な表現力を手に入れることができるとすれば、それはすばらしいことではないだろうか。単に省力化して、その時間を楽曲作りや自分自身の歌唱力向上に使うというのも、もちろんアリだと思う。
ミクの歌声にもっと広がりをもたせたい人、自分の歌に対する思いをVOCALOIDにもっと伝えたい人は、クラウドの中にいるミクたちとキャッチボールすることで、その願いはかなえられるだろう。
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