米Microsoftはいよいよ10月22日(米国時間)にWindows 7をリリースするが、そのリリース直前に、パートナー各社もこの新OSのアピールに精を出している。Windows 7は一般消費者と大企業の両方にITの大規模な買い替えを促すだろうというのがその趣旨だ。
「Windows 7はMicrosoftが投入する新製品としてはこれまでで最高品質を備えている。Vistaが失敗だったとすれば、Windows 7はかつてないほど格段に機能がアップしている」とDellの大企業担当社長スティーブン・シュッケンブロック氏は10月19日、Reutersの取材に応じ、語った。
さらに同氏は、大企業によるITインフラの買い替えが2010年半ばに始まるだろうとの見通しも示した。言うまでもないことだが、DellとMicrosoftはエンタープライズ市場において広範な提携関係を確立しており、最近も、Dellが企業向け統合ITインフラパッケージに自社のシステム管理ソリューション「OpenManage」とMicrosoftのシステム管理スイート「System Center」を統合している。
一方、今夏にWindows 7の応援役として早くも名乗りを挙げていたのはIntelだ。同社はMicrosoftと共同で記者会見を開き、同OSの処理速度とバッテリー駆動時間がWindows Vistaと比べていかに優れているかをアピールした。
IntelとMicrosoftの幹部は9月にはサンフランシスコでプレゼンテーションを行い、全く同じ構成の2台のThinkPad T400ノートPCを用意、1台ではVista、もう1台ではWindows 7を動作させて比較するというデモを披露した。このデモで、Windows 7を搭載したマシンの方がバッテリー駆動時間が20%長かったのは、「Timer Coalescing」と呼ばれる新しいAPIの効果だと両社幹部は説明した。このAPIは、CPUの平均的な空き期間を増やすことで消費電力を抑制できるのだという。
このプレゼンテーションではそのほかにも幾つかテストが実施され、Windows 7がVistaよりも高速に動作する様子が披露された。ただし両社の幹部らは、性能がどの程度向上するかは最終的には個々のデバイスの構成によって決まるとも断っている。
またIntelのセールス&マーケティング担当最高責任者ショーン・マロニー氏は7月のIntel Technology Summitにおいて、メディアに対し、「Windows 7はVistaよりも急速に企業に普及するだろう」との見通しを示し、次のように語った。「セキュリティの侵害やウイルス、省電力などさまざまな要素を考えると、購入から3年経ったPCであれば十分に買い替えの価値があるだろう」
Intelが2008年に「Vistaを導入しない」という決定を下したことはよく知られた話だ。だがWindows 7に喚起され、企業における大規模なITシステムの買い替えが進めば、Intelの収益にも直接的にプラスの影響が及ぶはずだ。Intelは今夏、社内にWindows 7を導入する方針を早々と宣言している。
またMicrosoftにとっては朗報の予兆と言えそうだが、アナリストの間でも、「2010年には景気が緩やかに回復に向かうなか、IT業界でもシステムの買い替えが進むだろう」との見通しを示す向きは少なくない。
Gartnerのアナリストは10月19日、フロリダ州オーランドで開催されたGartner Symposium/ITExpo 2009でのプレゼンテーションにおいて、「2010年にはIT支出が3.3%増加する」との見通しを示した。とはいえ、IT市場の売上高が2008年の水準まで回復するのは2012年以降になる見通しという。
「2010年にはコストとリスクと成長の間でバランスが図られることになるだろう。まだ半数以上のCIOにとっては、IT予算の伸び率は0%かそれ以下だろう。2011年になればIT予算もようやく緩やかに増加に向かうことが予想される」とGartnerのアナリスト、ピーター・ソンダーガード氏は同イベントで語った。
MicrosoftにとってITシステムの買い替えは紛れもないプラスだが、Windows 7の採用があまり急速に進まないようであれば、同社の業績に痛手となりそうだ。2009年に入り、同社の業績は低迷傾向が進んでいる。同社はWindows 7リリースの翌日となる10月23日に2009年7〜9月期の決算を発表する予定だ。
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