Visio創設者でIEのパートナープログラムマネジャー、テッド・ジョンソン氏は、IEチームの最大の目標は、互換性のあるHTML5マークアップを実現し、HTMLとCSSが(各種ブラウザで)同じように解釈され、JavaScriptが同じように実行されるようにすることだとあらためて述べている。もう1つの大きな目標は、GPUのパワーを使ったHTML5のグラフィックス・メディア再生だ。「動画のデコードを目的とするハードが手元にあるなら、それを使う」とハチャモビッチ氏は言う。
ジョンソン氏は、世界はHTMLとCSSを中心としたWeb1.0の世界から、AJAXのWeb2.0に移行し、今はグラフィックスやメディアを豊富に利用するHTML5に移っていると確信しているという。
同氏はまた、MicrosoftはIE9 Platform PreviewでSVGをサポートしているとも語る。「SVGは重要な仕様だ。プレビュー版ではすべてを実装してはいないが、多くを取り入れている」
同氏によると、MicrosoftはSVG 1.1をサポートし、IE9はドキュメント構造、基本シェイプ、パス、テキスト、変形、ペイント、塗りつぶし、カラー、スクリプト、スタイル付け、色勾配、パターン、クリッピング、マッシュ、マーカー、記号をサポートする。だがSVGフォント、宣言的アニメーション、フィルタ効果はサポートしないという。
IE担当上級プログラムマネジャーで、World Wide Web Consortium(W3C)SVG作業部会にMicrosoft代表として参加しているパトリック・デングラー氏は、HTML5、CSS、SVGの世界が融合しており、Microsoftはそれを利用していると語る。
「SVGの将来はWeb開発だ」と同氏は言う。「Web開発の次の大きな波に向け、SVGはHTML5、CSSとともに変化している」
Microsoftは1月にW3C SVG作業部会に再加入したものの、同技術の採用計画を具体的に公表していないことで批判されてきた。同社は今回の発表で業界を驚かせ、Facebook上にIE SVGというグループまで作っている。
モーセリ氏とウェバー氏は、IEチームは同ブラウザのパフォーマンスを測定するために、日々30のサイトを監視していると語る。この30のサイトはWebのコーティングパターンを代表するもので、これらサイトでのパフォーマンスを改善できれば、全体のパフォーマンス向上も容易になるからという。さらに、IE9は単にJavaScriptを解釈するのではなく、新しいJavaScriptエンジンでコードをコンパイルするとウェバー氏は説明している。これは特にマルチコアPCで有用だ。1つのコアをサイトのロードに使い、別のコアでJavaScriptをネイティブマシンコードにコンパイルできるからだ。この種のハードウェアアクセラレーションは、IE9の差別化に役立つと同氏は語る。
JavaScript処理を高速化するために、Microsoftは新しいJavaScriptエンジン「Chakra」を開発した。
ハチャモビッチ氏は同技術についてのブログエントリで次のように述べている。
「JavaScript処理をさらに向上させるために、Chakraはほかのスクリプトエンジンとはかなり違ったことをしている。ChakraはJavaScriptをコンパイルするための別のバックグラウンドスレッドを持っている。ほかに使えるCPUコアがある場合、Windowsはこのスレッドをそのコアで並行して実行する。バックグラウンドでコンパイルすることで、IEはもっと高速にコードを生成し、その間にユーザーはWebページを操作し続けることができる。バックグラウンドで別のスレッドを走らせることによって、このプロセスは最近のマルチコアPCを活用できる。Core 2 DuoやQuad Core、i7が搭載されたPCを持っているユーザーは、そのパワーを活用して、余計な労力を使わずに、Webページをより高速に処理できる」
Microsoftはまた、Acid3やGoogleのSputnikのようなWeb標準テストでの成績が良くないという批判も受け止めている。
「マークアップをもっとサポートすれば、Acid 3の点数は良くなる」とハチャモビッチ氏は話している。「多くの人は、Acid 3を標準準拠の代わりと考えている。だが別の見方もある」
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