米Adobe Systemsのシャンタヌ・ナラヤンCEOら同社トップがそろって来日し、4月22日都内で会見した。iPhone向けFlashをめぐる米Appleとの確執について、ナラヤンCEOは「Appleはクローズドを選択した。われわれはオープンなパートナーと協業していきたい」と話し、GoogleのAndroidなどを重視していく方針を述べた。Flash製品などを含むクリエイティブ製品部門のトップは、FlashアプリをiPhone向けに変換するツールについて、投資の中止を明言した(Adobe、iPhone向けFlashを断念 Androidにシフトへ)。
Appleは先日、iPhone OS SDKの利用規約を変更。新たな利用規約は、変換・互換のためのレイヤーやツールを使ったアプリを禁じたため、FlashアプリをiPhoneアプリに変換するFlash CS5の「Packager for iPhone」機能は事実上、利用不可能になる。
ナラヤンCEOは「マルチスクリーン・マルチデバイスへの期待が高まっている。全てのコンテンツ企業が求めているのはマルチデバイス化だ」と話す。ポール・ワイスコフ コーポレートデベロップメント担当上級副社長は、Flashは「制作者が1つコンテンツを作れば、最も多くの機器で活用できる」というコンテンツのマルチデバイス化を容易に実現できるとし、「FlashはAdobeだけではなく、ユーザーにとっても重要だ」という。
「マルチデバイスによる共通体験は、業界全体が取り組むことで実現できる」と話すワイスコフ上級副社長は、iPhoneのFlash対応を拒み続けるAppleの姿勢を「プラットフォームをクローズドにし、パブリッシャーによる配信を難しくし、エンドユーザーの選択肢を狭める」と批判する。
AdobeはFlash制作ツールの最新版となる「CS5」を5月28日に発売する。ジョン・ロイアコノ クリエイティブソリューション事業部門担当上級副社長は、Flash CS5にPackager for iPhoneを含む形で発売するとした上で「Packager for iPhoneへの今後の投資はしない」と述べた。
一方、今後リリースするFlash Player 10.1とAIR 2.0はスマートフォンへの対応を予定しており、Android向けではGoogleと密接に協力しながら開発していることを明らかにしている。またナラヤンCEOは、年内に登場する複数の新端末がFlashに対応する予定だと話した。
HTML5について、ナラヤンCEOは「Adobeはオーサリング環境をあらゆるフォーマットに対して提供する。Creative SuiteはHTMLをサポートしており、Flashとも共存する」と話す。「HTMLの進化は歓迎する」と述べるとともに、「動画、3Dゲームなど、Flashのイノベーションも進めていく」という。
Omniture共同創業者で、Adobeによる買収で同社に入ったジャシュ・ジェイムズ オムニチュアビジネスユニット担当上級副社長はこう述べた。「Appleがクローズドなのは明らかによくないが、われわれにとっては追い風になる。閉鎖的なシステムは短期ではいいかもしれないが、長期的にはわれわれに資するだろう」
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