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雑誌をめくる感覚のファッション検索「ShopStyle」、日本上陸

» 2010年05月24日 16時34分 公開
[小笠原由依,ITmedia]
photo ShopStyle

 雑誌をめくる感覚で商品を閲覧できるファッション検索サイト「ShopStyle」(ショップスタイル)の日本版が7月上旬にスタートする。ファッションブランドや百貨店などのECサイトを横断検索でき、横スクロールの検索結果画面が特徴的なサイトだ。気に入った洋服や雑貨をクリッピングし、コーディネートを作ることも可能。サイトデザインに高級感を持たせることで、既存ECサイトに出店することの少ないハイブランドや百貨店の出店を促し、差別化を図っていく戦略だ。

 ShopStyleは、F1層(20〜34歳の女性)向けオンラインメディアを運営する米Sugarが2007年にアメリカでスタート。現在はイギリス、フランス、ドイツにも拡大している。「アメリカでファッション系ECサイトにどこからお客さんが来るかを調べると、1位はGoogle、2位はShopStyleと出る」というほどで、全サイト総計で月間1000万トラフィックを提携ECサイトに送り込み、売り上げ貢献額は180億円に上るという。

 日本では当初、丸井が運営する「マルイウェブチャネル」やイタリア発のファッションECサイト「yoox.com」といった20サイトと連携。1年後には100社を目指すとしている。

1人で3400コーディネート作るヘビーユーザーも

 サイトでは洋服やバッグ、靴、化粧品などを検索できる。あらかじめ購入商品を決めてキーワード検索することもできるが、服、デニム、スキニーといった具合にカテゴリで絞り込み、表示された検索結果から好みのアイテムを探すこともできる。

 検索結果画面では、サイズやカラーバリエーション、価格、詳細情報を表示。商品画像にマウスオーバーすると詳細な情報が表示され、「あちこちのECサイトを行き来しながら、購入するアイテムを比較しなくて済む」(Sugarのアンディ・モスCEO)という。検索した商品画像をクリックすると提携するECサイトに飛び、商品を購入できる。


photo MYスタイルブック

 ファッション誌をスクラップする感覚でコーディネートを作成・公開できる「MYスタイルブック」機能も備える。サイト上で気に入った洋服や靴を保存し、サイズや向き、配置を変更して組み合わせ、コーディネートを楽しめる。無料ユーザー登録をすれば利用できる。

 全世界で既に30万のコーディネートが公開されており、1人で3400以上のコーディネートを作ったヘビーユーザもいるという。普段手の届かない価格帯の洋服を取り入れ、疑似的にコーディネートを楽しめる点が魅力だという。

 作ったコーディネートは、TwitterやFacebookに投稿したり、ブログパーツにしてブログに貼ることができ、ユーザー同士でコーディネートを評価したり、コメントを付けることもできる。コミュニケーションも盛んで、あるユーザーがMYスタイルブックで1000コーディネート作ったことを記念して、ほかのユーザーが“記念パーティー”と称してお祝いのために着る服のコーディネートを考えて公開する――など、ファッションを通じた交流もあるそうだ。

 気に入った商品を登録しておけば、商品が安くなった時にメールが届く「MYセールメール」などの機能も備えている。

雑誌から着想を得た横スクロールのサイト

photo 横スクロールが特徴的な検索結果画面(画面は米国版)

 サイトは黒と白を基調にしたシンプルなデザインで、トップページには、その時々の特集ページへのバナーと、ユーザーが作ったコーディネートの画像が並ぶ。横スクロールを採用した検索結果画面のユーザーインタフェースが特徴的。白を背景に、サイズのそろった商品写真が並び、雑誌をめくったり、ウィンドウショッピングをする感覚で商品を見られる。

 このUIは、過去に米Appleでスティーブ・ジョブズCEOとともに働いていたSugarのエンジニアが雑誌から着想を得たという。縦スクロールも検討したが、雑誌のような見やすさから横スクロールを採用したそうだ。

 ユニークなサイトデザインは、他社との差別化を図る狙いがある。ファッションに特化し、商品がいかにきれいに見えるかに気を配っているという。ハイブランドや百貨店などはブランド戦略上、一般的な雑然としたECモールに出店することを控えるケースもあるが、「サイトに高級感を出すことで安心して出店してもらえる」。米国サイトには、百貨店「バーニーズ ニューヨーク」やファッションブランド「トリーバーチ」、英シューズブランド「ジミーチュウ」などが出店している。

 収益は出店者の売り上げの一部にコミッションすることで得ている。提携しているアフィリエイトネットワークに加盟してもらうという方法が主だが、出店者が加盟に抵抗感を持つ場合には、送客課金や購入課金といった個別契約をすることもある。同社は非上場で、売り上げ額は非公開だという。

携帯電話対応については検討中

photo Sugarのアンディ・モスCEO

 モス社長によると、以前食べ物から靴まで幅広いジャンルを扱うECサイトを運営していた。そこで靴を検索するユーザーがかなり多かったことから、ファッション検索をチャンスと見て同サイトをスタートした。

 MYスタイルブックは、知人の投資家の奥さんから着想を得た。その奥さんはファッションが大好きで、自分のコーディネートを友人に見せたいと話していたという。

 「ニューヨーク、ロンドン、パリときたら次は東京だろう」と、日本進出を決めた。「アメリカでサイトを始めた時、EC市場がちょうど伸び始めたタイミングで、ECサイト市場の伸びとともにサイトも伸びた。日本も今ECサイトが伸び始めている。同じように日本サイトも成長させていきたい」としている。

 サイトと連携したiPhoneアプリ、iPadアプリも提供する。携帯電話対応については、「日本のモバイルEC市場の大きさは認識している。ローンチ後に、3キャリアに対応するモバイルサイトについて詳しく検討していきたい」としている。

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