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Android 2.2でFlashを試す――ロードは遅いが画質は良し

» 2010年05月26日 07時00分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 Flash Player 10.1はスマートフォンなどのモバイル機器で、デスクトップと同じようにWebを閲覧し、ストリーミング動画やWebサイトのアニメーションを再生できるようにする。少なくともAdobeの関係者はそう主張している。彼らはこの主張を裏付けようと、プレリリース版のAndroid 2.2とβ版のFlash Player 10.1を搭載したNexus Oneを送ってきた。

 Adobeはこのβ版を、Appleから攻撃を受ける中で送り出してきた。Appleは、Flashはバグが多く、バッテリーを食うためモバイル機器には適さないと公に批判している。Flash Player 10.1はこうした主張に反論するべく設計されているようだが、評価機のNexus Oneでは幾つか問題があり、Web機能をフルには検証できなかった。評価機にはSIMカードがなかったため、FlashをテストするにはWi-Fiを使わなければならなかった。3Gネットワークに接続できれば、もっと完ぺきな評価ができただろう。

 Flash Player 10.1に大きなメリットがあるとすれば、バッテリーが長く持つことだ。3日間ゲームや動画を使ってみたが、Nexus Oneのバッテリーは通常のWeb利用と同じペースで減っていたようだ(「通常のペース」の基準は、DROIDとDROID ErisでWebを多用した経験に基づいている)。Nexus Oneはおよそ15分動画を再生すると本体が温かくなり始めるが、類似のスマートフォンやiPod touchなどのデバイスでも同様の現象は起きる。

 Adobeは、Flash Player 10.1はスリープモードや省電力モードでは動作が遅くなるかシャットダウンされ、画面に実際に表示されていないコンテンツをレンダリングするかどうかを判断するとしている。

 同ソフトはバッテリーを大量に消費しないかもしれないが、ビュッフェテーブルのマーロン・ブランドのように帯域を食う。企業のWi-Fi接続でも、多数の動画でロードに時間がかかった。Wall Street JournalのWebサイトのビデオクリップは再生までに2分かかったし、アンジェリーナ・ジョリーの映画「Salt」の予告編では3分かかった。待ち時間を使って電子メールをチェックしたりはできるだろうが、動画をやめてほかのことをしたいという強烈な衝動にも駆られた。

 しかし動画の再生が始まると、それまでの低い評価をほとんど忘れてしまった。画質は素晴らしく、ちらつきや引っかかりは最小限に抑えられている。AdobeがモバイルFlashに最適化されているとうたっているWarner Brothersのサイトで、「The Book of Eli(ザ・ウォーカー)」の予告編を見たところ、iPod touchのHDDに保存しているバージョンと遜色ない画質だった。長時間動画を見る際に注意したいのは、画面に触れずにいると、Nexus Oneが省電力モードになってしまうことだ。あるときには、デンゼル・ワシントンが崩壊した世界で多数の敵と戦おうとしたところで画面が暗くなってしまった。だが、これは修正できる問題だ。

 Flashゲームは非常にスムーズに動き、タイムラグはかなり小さいかゼロだった。HTCなどの企業サイトのFlashアニメーションも同様だ。

 評価機のWebブラウザでAdobeの「推奨」サイトのページを開くと、常にスムーズに表示された。しかし、そこにないサイトの視聴結果はまちまちだった。Huluのファンにとっては残念なことが分かったが、このサイトは推奨リストには入っていない。配信権の問題で、モバイル機器にはストリーミングできないようだ。「24」などの番組を見ようとすると画面が真っ暗になった。ほかの一部のサイトでも、アニメーションを見ようとすると画面が黒くなるか白くなり、カラーの動画をロードできなかったり、3分後に動かなくなったりした。

 Adobe幹部はレビュー前に、Flash Player 10.1はβ版で、最終リリースまでにバグを直すと言っていた。同ソフトはAndroid 2.2以降で動作するよう設計されており、AdobeはWindows Phone 7、webOS、Symbian、BlackBerryへの対応も目指している。

 Appleのスティーブ・ジョブズCEOが、Flashはバグが多くバッテリーを大きく消費するためiPhoneやiPadには適さないと公に批判したことを受け、Adobeはこの数カ月、守勢に立たされている。

 「Flashはモバイル機器ではうまく動かなかった」とジョブズ氏は「Flashについての考え」と題した4月の書簡で述べている。この書簡はAppleのWebサイトに掲載された。「われわれは数年前からAdobeに対し、モバイル機器、あらゆるモバイル機器でスムーズに動作するFlashを見せるよう求めてきた。それは見られなかった」

 Adobeも反撃を繰り出している。同社幹部は2月にeWEEKに対し、FlashがWebで普及していること、Flash Player 10.1をAndroidなどのスマートフォンOSに移植することを挙げ、Flashブランドはまだ重要だと主張した。同社はFlash Player 10.1の一般公開を6月17日としている。

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