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マイクロソフト、教育分野のIT活用推進 自治体やパートナーと共同で

» 2010年06月03日 07時00分 公開
[小笠原由依,ITmedia]
photo 子ども向けに「Office 2010」各ソフトを見やすくする「Dr.シンプラー」を搭載した教育向けPC

 マイクロソフトは、小中高校生のIT活用促進に向けた取り組みを強化する。自治体やパートナー企業と協力し、学校向けシステムや、教育用ハード・ソフト、電子教科書などコンテンツの充実を推進。教育分野の市場拡大につなげる狙いだ。

 「業界の枠を超えたパートナー連携を拡大する」としており、凸版印刷やデジタルアーツ、ソフト開発のゼッタテクノロジーなどソフト・コンテンツメーカー13社と、デル、日本エイサー、富士通などPCメーカー17社が賛同している。

 自治体や教育委員会、学校などと連携し、ITを利用した教育環境整備を支援するプログラム「Innovative Education Program」を推進。児童・生徒の個人情報や学校・家庭での学習進行状況を一元管理するシステムなどを提供する。6月中に実証実験をスタートする予定だ。

 ソフト・コンテンツ面の充実も図る。第1弾として、PowerPointを使って生徒参加型コンテンツを作成できるツール「Mouse Mischief」を6月2日、マイクロソフトのWebサイトから無償提供。PowerPointで出題した問題に、生徒が自席からマウスを使って回答する――といったことが可能で、1台のPCに最大25個までのマウスを接続できる。

 WordやPowerPointのユーザーインタフェースの漢字表記を、子どもの学年に合わせて学習済みのものに変えたり、分かりやすい表現に変更するゼッタテクノロジーのアドインソフト「Dr.シンプラー 2010 Lite」も、6月30日から無償提供する。

 小中高生がオフィスソフトを低価格で購入できるプログラムも。Office 2010など4ソフトのボリュームライセンスを購入した学校に通う小中高校生向けで、7月中旬にスタートする。

 子どもが利用しやすいタブレット型PCの開発や、富士通のカラー電子ペーパーを搭載した電子書籍端末「FLEPia」(フレッピア)の教育利用などを検討する。

photo 樋口社長

 マイクロソフトの樋口泰行社長は、「次世代の競争力のある人材には、知識だけでなく情報収集力や集めた情報を整理する“総合情報力”が必要。教育の場でも、いかにITを利用するかを考える必要がある」と話す。

 日本人のPCの所有率は20%で、米国の約3分の1、韓国の約2分1という。「日本のPC所有率を少なくとも韓国水準まで上げたい。子ども向けを意識したソフト、ハード、コンテンツ制作を相互に行えば、大きなマーケットが作れ、新しいビジネスも生まれる」と樋口社長は期待する。

 樋口社長やソフトバンクの孫正義社長などが発起人となって5月に発足した「デジタル教科書教材協議会」の取り組みなどを通じて、教材のデジタル化も推進していく考えだ。

 「マイクロソフトは、ソフトウェアで大きくなってきた。(ITという)得意分野で社会に貢献し、お返しをしたい」と樋口社長は話している。

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