米PayPalの日本法人ペイパルジャパンは7月28日、オンライン決済サービス「PayPal」を日本で本格普及させるため、ECサイトへの営業やユーザーへのPRを強化することなどを盛り込んだ成長戦略を発表した。
銀行以外の事業者でも送金業務ができるよう規制緩和する「資金決済法」が4月に施行されたことを受け、日本で事業を本格展開する時期にきたと判断。新オフィスを東京・表参道に構え、社員も積極的に採用していく計画だ。
PayPalは、クレジットカードや銀行口座から、相手の口座に送金できるサービス。カード番号や口座を登録しておけば、メールアドレスでログインするだけで送金できる手軽さと、個人情報が送金先に伝わらないという安全性が売りだ。アクティブアカウントは世界で8700万以上、日本で40万以上という。
日本では現在、クレジットカード決済のみに対応。今年1〜6月の取扱高は前年同期より45%増加し、そのうちクロスボーダー取引(海外ユーザーとの取引)が70%を占めている。銀行口座からの入出金や個人間取引への対応は、今後検討するという。
ペイパルジャパンは2008年に設立し、市場調査などを行ってきたが、今年から本格的な営業活動を開始。GMOペイメントゲートウェイやソフトバンク・ペイメント・サービスなど決済代行会社6社と提携し、ECサイトにPayPal採用を提案してきた。
今後もPayPalを採用するECサイトの拡大を重視し、決済代行会社と連携した営業活動を強化するほか、同社による直接営業も行っていく。グローバルに展開するPayPalの強みを生かし、海外に見込み客を抱えるECサイトへも積極的に営業をかける。
同社によると、日本のEC取り引きのうち、クロスボーダー取引が占める割合は17.8%で、中国、韓国、米国よりも低い水準という。「日本の売り手が世界進出するのをお手伝いしたい」と、同社のアンドリュー・ピポロカントリーマネージャーは語る。
ユーザー向けには、「安全」「簡単」といったキーワードでPayPalを訴求する。ピポロマネージャーはECサイトの決済手段について「多くの人がクレジットカードを使うのは便利だからで、安全だからという人は少ない」とコメント。PayPalなら「クレジットカードと同じくらいの利便性に加え、安全性も提供できる」とアピールする。
開発者にもアピール。開発者向けコミュニティー「PayPalX」に参加するよう日本人開発者に呼びかけるほか、PayPalのAPIやサンプルコードの提供を充実させていく。
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