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進化する「GALAPAGOS」で世界へ シャープの電子書籍端末、早期に100万台目指す

» 2010年09月27日 20時05分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 シャープは9月27日、電子書籍事業新ブランド「GALAPAGOS」(ガラパゴス)の第1弾商品として、12月に電子書籍配信サービスを始め、対応端末「メディアタブレット」2機種を発売すると発表した。「売り切りではなく、進化し続ける端末」――そんな意味を込めた「GALAPAGOS」というブランドで、欧米を皮切りに世界展開も進める。

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 GALAPAGOSは電子書籍事業の総合ブランド。同社が開発した、縦書きやルビなど日本語特有の表現に対応した電子書籍フォーマット「次世代XMDF」を核とし、端末からオーサリングシステム、配信システムまで提供する。

 第1弾として12月、約3万冊の電子書籍/雑誌/新聞をダウンロードできる配信サービスと、Androidベースのタッチパネル端末2機種を発売。端末は無線LAN(IEEE 802.11b/g)に対応し、電子書籍や雑誌をダウンロード購入できるほか、Webサイトの閲覧も可能だ。「Androidマーケット」は利用できない。

 端末は、「雑誌が見開きで読める」という10.8インチ(1366×800ピクセル)ディスプレイのタブレット型と、「文庫本感覚で手軽に楽しめる」という5.5インチ(1024×600ピクセル)の2機種。それぞれタッチパネル操作が可能なほか、下部に小さなトラックボールを装備。トラックボールを指で回転させて操作し、片手だけでページ送りできるなど、操作性を工夫した。


画像画像 液晶画面は鮮やか。裏には「GALAPAGOS」から取った「GS」のロゴが。10.8インチはブラック系の1色、5.5インチはレッド系とシルバー系の2色

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 あらかじめ設定した時間に新聞や雑誌を自動配信する定期購読システムや、おすすめの電子書籍の体験版を自動配信する仕組み、XMDF対応による豊かな表現力、端末の使いやすさ――などが、iPadなどライバルとの差別化ポイントという。

 専用PCアプリ「GALAPAGOS Station」と連携し、端末で買ったコンテンツをPCで管理したり、資料などをXMDF形式に変換して端末に転送・閲覧することもできる。

 端末のソフトウェアは定期的にアップデートし、XMDF以外の電子書籍フォーマットに対応する予定。来年春ごろをめどに、動画やゲーム、音楽配信などにも対応する計画だ。その後、ECサービスや広告展開も検討しているほか、電子教科書としての用途提案も視野に入れている。

 価格は、「すでに世の中に出回っている端末やサービスと同様の価格帯」(同社の大畠昌巳執行役員)になる見込み。「2011年のできるだけ早い段階に100万台を販売したい」という。欧米を皮切りに世界展開も進める計画だ。

売り切りではなく、「進化する」GALAPAGOSに

 国内IT業界で「ガラパゴス」という言葉は、日本国内向けに独自進化し、海外では通用しない端末やサービスなどを揶揄(やゆ)するネガティブな意味で使われることも多い。だがシャープはこの言葉を否定的にはとらえていないという。

 ダーウィンがガラパゴス諸島で進化論のヒントを得たことを引き合いに、「進化し続ける端末」「世界で通用するモノの象徴」という意味を込めた。電子書籍端末は、ソフトウェアアップデートなどで「購入後も進化する商品」。従来の売り切り型ビジネスモデルから脱し、新たな環境に適応しながら進化し、生き残っていく――というイメージだ。

 自社だけに閉じこもらず、出版社など他社とアライアンスを組むという「ビジネスモデルの進化」、日本の顧客の厳しい目に鍛えられながら、世界各地のライフスタイルにフィットするサービスや商品を提供する「環境適応力の進化」も追求していくという。

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