ヤマハ純正のVOCALOID「VY1」をデータベースとして生まれたiVOCALOID VY1、iVOCALOID VY1t。それぞれiPad用、iPhone用の製品だ(VOCALOIDがiPad/iPhoneアプリに ヤマハが開発)。
VOCALOIDのiPhone版、iPad版と聞くと、クラウド型VSTと同様に、クラウド上にNetVOCALOIDサーバを置いて、そこにアクセスして結果を返してくるというWebアプリ的なものを想像してしまうが、そうではない。
iPhone/iPad上で計算処理し、その結果がすぐに出てくる、ネットアクセスを必要としないスタンドアロンアプリなのだ。
ヤマハでこの2つのアプリを開発している研究開発センター 赤澤英治主任に話を聞いた。
iPad版であるiVOCALOID VY1は、Windows版VOCALOID Editorに似た、ピアノロール形式のユーザーインタフェースだ。左側にピアノの鍵盤が縦に並んでいて、その右側に音符に相当するノートを並べていく。歌詞の入力は上部の窓にひらがなかカタカナを入力する。音素記号による入力はできない。
実際に動作画面を見てみると、iVOCALOID VY1ではシーケンス全体を見ながら編集していくことができるのが分かる。
音高と音長はピアノロールで編集するが、それ以外のパラメータは、ピアノロール画面に半透明でオーバーレイして表示させ、編集できる。VOCALOID Editorはノートの下に表示されるものだ。
ノートごとのピッチを微調整するPit(VOCALOID EditorでのPITに相当する)はとても使いやすい。指で画面をなぞるだけで、長く伸ばす音をなだらかに上げていったり、下げたりが簡単にできる。
音量パラメータのDyn(DYN)も同様に、左側の「Dyn」ボタンをタップすると、縦の棒グラフ状になった音量パラメータがピアノロールのノートに重ね合わさって表示される。
PitもDynもVOCALOID Editorではマウスで操作するのは慣れが必要で、ペンタブレットを使うユーザーも多い。この使いやすさを見ると、「パラメータ設定はiPadでやりたい」という人も出てくるのではないだろうか。
もう1つ、ビブラートの深さを設定するVibというパラメータがiPad版では独立している。ビブラートのパラメータは、Windows版ではノートのプロパティを開いて設定する必要があった。細かい設定はできるものの、作業としてはかなり煩雑になる。iPad版では、曲全体を通して、ビブラートをかけるところ、かけないところ、深くかけるところを指でなぞるだけでいい。この簡単さは圧倒的だ。
Dyn、Pit、Vibの粒度(解像度)は8分音符になっている。さらに細かく設定できれば、VOCALOID Editorでパラメータを描く作業をすべてiPad版でやるといったこともできるのだが、「これ以上細かくすると、もっと触りたいという欲求がでてしまう。このくらいだとパッと操作してパッとできるんです」と赤澤氏。
設定ボタン(歯車のアイコン)をタップすると、Reverb、Rhythmの2つの設定がでてくる。リバーブのオン/オフと、リズムトラックのオフ、80BPM、120BPMだ。リズムトラックはこの2つの異なるテンポ向けのものが選択できる。拍は4/4のみ。BPMはスライダーで1単位ずつ微調整が可能で、Windows版VOCALOID Editorと同じく20から300まで。120BPMのシーケンスを、240BPMに設定して譜割りを細かくすることも、60BPMに設定して曲の長さをかせぐ、といったことも可能だ。
作成可能な小節数は最大で17。16小節のブルースならまるごと可能だ。曲数には特に制限がないので、続きは別の曲として作成することができる。
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