iPhone版のiVOCALOID VY1tはiPad版とはユーザーインタフェースが大きく異なっている。ピアノロール方式の入力に加えて、ピッチカーブ入力が可能だ。「VOCALOIDの父」で研究開発センター音声グループマネージャーの剣持秀紀氏が答えてくれた。
「生ビールくださーい」「おまえのかあちゃんでーべーそー」「ばーか」といった、話し言葉のフレーズを、言葉を入れてカーブを描くだけで簡単にしゃべらせることができる。ピッチと音の長さを調整可能。「このインタフェースが非常にいいな、というのは改めて感じた」と剣持氏。
文字入力の画面で「ありがとお」と入れると、ピアノロールの画面下に「あ」「り」「が」「と」「お」と音の長さが、上のピアノロールの部分に音高が表示される。音長は画面下で、音高は上の部分で調整するという、操作性を重視したインタフェースだ。画面上部を押しているときにはサイン波のガイド音が出てくるので分かりやすい。おしゃべりの長さは最大3秒間。曲の情報は自動的にデータベースに保存される。
剣持氏はピッチカーブを描き直すことで、「ありがとう」を標準語っぽくしゃべらせたり、京都弁っぽいイントネーションにしたり実演してみせてくれた。
iPhone版、iPad版ともに160Mバイト以上で、VY1データベースを内蔵。剣持氏によれば、それにオプションでほかのVOCALOIDを追加するというのは難しいそうだ。このため、男声VOCALOIDのVY2が出ても、そのiPhone版、iPad版は別製品ということなるようだ。
iPadアプリで作成したVOCALOIDデータ(VSQファイル)をメールに添付して送り、Windows版VOCALOID Editorで編集できる機能はあるが、既存のVSQファイルをiVOCALOIDで読み込む機能を実装するかどうか未定。iPhone版でVSQファイルをメール添付する機能については、技術的には可能なので、要望が多ければ商品化時に実装するかもしれないという。
両製品とも価格、発売時期ともに未定だが、App Storeでの公開についてはめどがたっているようだ。
これがiPhone、iPadのキラーアプリとなるのは確実だろう。実機が展示されている「デジタルコンテンツEXPO」(10月17日まで、東京・日本科学未来館など)会場ブースでは、訪れた中学生がiPad版をいじって、「ワールドイズマイン」を打ち込んでいたそうだ。これまではWindowsにしばられていたVOCALOIDだが、iPad、iPhoneという新たなプラットフォームを得て、新たなクリエイターを作り出していくことを期待したい。
iOSに対応するのなら、Mac OS Xへの対応もできているはず。同じXcodeが開発環境なので、Mac版もぜひ、と期待がかかる。これについて、剣持氏はエンジンは移植できるが、GUIの部分がまだなので、「しばらくお待ちください」と答えた。
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