国立科学博物館は9月21日、宇宙ヨット実証機「IKAROS」の帆のバックアップモデルを報道陣に公開した。展開した状態で幅14メートルの大迫力。10月26日にスタートする「空と宇宙展−飛べ!100年の夢」で、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルなどとともに一般公開する。
IKAROSは、光を反射する薄い膜「ソーラーセイル」を張り、太陽光(光子)を受けて進む“宇宙ヨット”。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が5月21日に金星探査機「あかつき」とともに打ち上げ、6月に宇宙空間でソーラーセイルの展開に成功。現在は金星に向かって航行している。
公開したのは、ソーラーセイルのバックアップモデルを4分割した1枚。打ち上げ前、不具合が生じた場合に取り替えるためにスペアとして用意していたもので、素材などは実物と同じだ。一般公開を前に、膜を広げ、展示器具にセットする作業の様子を報道陣に披露した。
JAXAのスタッフや作業員が、折りたたんだ状態の膜に器具をつけ、少しずつ引き上げる。徐々に展開されてゆき、10メートルほどの高さからつり下げられた。台形で、上辺が14メートル、下辺が3.2メートル、高さが6メートルと大きく、かなりの迫力だ。
厚さは0.0075ミリと髪の毛の10分の1ほど。ソーラーセイルと同じポリイミド樹脂でできたシートを触ってみたところ、指に挟んでいる感触がほとんどないほどペラペラだった。膜の表面には太陽電池と液晶パネルが付いているが、重さは3.5キロと軽く、作業員たちの力でひょいっと持ち上がっていった。
バックアップモデルは、JAXA相模原キャンパス(神奈川県相模原市)で公開されたことがあるが、博物館での展示は初めて。日本の航空宇宙開発の歴史を学べる企画展「空と宇宙展−飛べ!100年の夢」の展示物として、来年2月6日まで公開する。はやぶさのカプセルも、初日から11月7日まで展示する予定だ。
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