ドワンゴが11月11日に発表した2010年9月期通期の連結決算は、14億1900万円の最終利益を計上し、5期ぶりに黒字転換した(前期は7億8200万円の赤字)。「ニコニコ動画」有料会員の拡大で、ニコ動を含む「ポータル事業」が大幅な赤字から黒字に転換、利益に貢献した。
売上高は前期比14.3%増の303億7300万円、営業利益は3.8倍の18億9800万円、経常利益は4.9倍の20億3200万円。うち、ポータル事業の売上高は93.4%増の63億4400万円、営業利益は2300万円の黒字(前期は18億3000万円の損失)となった。
ニコニコ生放送の強化などで、「ニコニコ動画」の有料会員「プレミアム会員」(月額525円)は9月末で98万人(10月末時点で101万人)となり黒字化に大きく貢献。「ユーザー拡大・一般化につれメディアパワーが増した」(同社の夏野剛取締役)結果、広告収入も徐々に伸びている。
今期は、ライブイベントを有料配信する事業や、有料ポイント「ニコニコポイント」を使ったサービスを伸ばし、海外展開も本格化していく。「新しいビジネスを立ち上げて収益の柱を増やし、急上昇していく最初の年にしたい」と夏野取締役は意気込む。「ニコ動を知らない人に浸透させる」ため、マーケティングにも費用をかける。
今期のポータル事業の売上高は、前期比53%増の97億2000万円、営業利益は30倍の6億7000万円と予想。プレミアム会費収入や広告収入を拡大させる一方、ニコ生の番組制作や広告宣伝、新ビジネスへの投資にコストをかける。
モバイル事業やゲーム事業などで減益を見込んでおり、連結では増収減益となる計画。連結売上高は、前期比15.2%増の350億円、営業利益が18.9%減の15億4000万円、経常利益が24.7%減の15億3000万円を見込んでいる。
小林宏社長は「この12月でニコ動は丸4年を迎える。この4年間、ヒト・モノ・カネをしっかりと投資し、拡大基調を維持しながら黒字化できた。しかし、まだまだ発展途上。今後もこのペースを崩さず伸ばしていきたい」と話している。
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