「いや〜、何だか業界がひっくり返りそうな気がしてきたぞ(笑)」――「ラブひな」などで知られる人気漫画家の赤松健さんが、絶版漫画を無料配信し、広告収益を作者に還元するビジネスに乗り出す。専用サイト「Jコミ」を11月26日にオープン。まずは実験として「ラブひな」全巻(1〜14巻)を無料公開し、広告のクリック数などを検証する。
このほど、ブログで計画を発表。新会社「Jコミ」を設立、社長に就任した。
Jコミは“絶版マンガの図書館”。スキャンされた漫画を一般ユーザーから収集し、作者の許諾を得て広告を挿入した上で、DRMフリーのPDFファイルとして無料公開、広告収益を作者に還元する。絶版漫画に限定しているため「既存の出版社とは競合しない」している。
漫画をスキャンしたJPEGファイルをZIPでまとめてアップロードすると、自動で広告をはさんでPDF化するシステムを用意。ネットに流通している漫画のZIPファイルをユーザーにアップロードしてもらうことで、「ニコニコ動画やYouTubeみたいに、どんどん『絶版マンガ図書館』が大きくなっていくのでは?!」と赤松さんは期待している。
広告が5000回クリックされた場合、広告1ページ当たり10〜30万円ほどの収入があると試算。1作品(1巻)当たり70〜80万円ほど稼げるとみる。「ラブひな」の配信実験で広告クリック数などを検証し、本格展開を考えていく。サイトについての漫画家からの意見も募っている。
赤松さんは、漫画をスキャンしたファイルがネット上で違法に流通していることに頭を悩ませてきたという。昨年ごろからは、赤松さんの作品を「Winnyで落として読みました。面白いです!」というメールも届くようになり、「どうやら、皮肉ではなく、本当に面白いと感じて下さったようで、作者としては複雑な心境」と告白する(関連記事:「YouTube見てますよ!」にどう答れば サンドウィッチマン伊達さん、悩みをブログに、「飢えて死にます」――「黒執事」作者、ファンからの「海外動画サイトで見た」メールに苦言)。
特に絶版本で問題が大きいと指摘。「新刊なら、出版社が違法サイトを差し止めすることもありますが、絶版のマンガだとぶっちゃけ違法流通し放題」なためだ。こういった状況を「何とか変えられないか」と、広告モデルでの漫画配信を発案したという。
「最終的には、日本のあらゆる絶版マンガが集まって、『日本の誇るマンガ文化を守り、正しく未来に残す』一助になったら良いな・・・とか思ってます」
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