Editor's column
日本シリーズの行方はデータに聞け!
11月12日に開幕するプロ野球・日本シリーズ。パ・リーグは、2位に17.5ゲーム差をつける圧倒的な強さでリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズ(CS)でも負けることなく日本シリーズ進出を決めた福岡ソフトバンクホークスが出場。対するセ・リーグは、シーズン終盤に快進撃を見せて逆転優勝、CSでは苦戦しながらも東京ヤクルトスワローズを退けた中日ドラゴンズが4年ぶりの王座奪還に挑む。
下馬評ではソフトバンクが有利とみられる。その理由は選手の個人成績に表われている。打者部門では、パ・リーグの首位打者を獲得した内川聖一選手を筆頭に、打率トップ10に4選手が入っている。かたや中日は、打率2割6分3厘だった荒木雅博選手がチーム最高だが、リーグでは15位という成績だ。
投手部門では、中日のエース・吉見一起投手が防御率、勝利数で2冠を達成した。防御率に関してはリーグ9位にネルソン投手、10位にチェン投手が入り、投手力の高さを示した。しかし、ソフトバンクはそれを凌駕する。防御率では、リーグ10傑に4人、勝利数では最多勝のホールトン投手をはじめリーグ5傑に3人も名を連ねているのだ。
次に、両チームの対戦成績を見てみよう。ここ5年間の直接対決(公式戦)は交流戦の20試合で、ソフトバンクが13勝7敗と勝ち越している。今年に限ってもソフトバンクが3勝1敗で、うち2試合が完封勝利だった。日本シリーズでの対戦は1999年に1度あり、ソフトバンクの前身であるダイエーが4勝1敗で中日を破っている。なお、同シリーズでMVPに輝いたのが、現ソフトバンク監督の秋山幸二監督である。
ごくシンプルではあるが、日本シリーズで対戦する両チームを取り巻く基本的なデータを紹介した。これを見て「やっぱりソフトバンクが勝つのね」で話が終わってしまっては意味がない。夢もない。そこで、専門家の眼から見た日本シリーズの注目ポイントを聞いてみた。
チーム勝利の9割が先発投手のおかげ?
「先制点が鍵」――。スポーツデータの専門企業であるデータスタジアムでベースボール事業部に所属する森川佳氏は具体的なデータを示して日本シリーズを占う。今シーズン、先制点を挙げて勝利した確率を見ると、ソフトバンクは7割9分5厘で12球団トップ、中日も7割6分5厘と匹敵する。関連するデータとして、対戦チームに先制点を許す確率を見ると、ソフトバンクは33%、中日は44%という結果だ。
さらに興味深いのが、5回終了時点でリードしていた場合、ソフトバンクは8割9分9厘、中日は8割9分4厘という確率で勝つというデータだ。つまり、両チームともかなり高い確率で先制し、さらに勝利への精度を高めて白星を挙げる「先行逃げ切りタイプ」といえるだろう。
先制点を守り切るためには投手の力が重要になってくる。投手陣の勝利数に着目すると驚くべき数字が浮かび上がった。中日はリーグ戦75勝のうち53勝を先発投手が挙げているのに対し、ソフトバンクは88勝のうち79勝、実に約9割の白星が先発投手についているのである。裏を返せば、ソフトバンクの先発投手陣の攻略が中日にとっては不可欠というわけだ。
日本シリーズならではの活躍も
ここまで見てみると、やはり中日が不利な印象があるかもしれない。そこで最後に、選手個人のデータに注目してみたい。
セ・リーグのCSではまるで奮わなかった中日の谷繁元信選手(打率0割0分0厘)、和田一浩選手(打率0割9分1厘)だが、日本シリーズの舞台に強いことを裏付けるデータがある。谷繁選手は過去5回出場していて、毎シリーズで打点を挙げている。総計19打点で文句なしのチームトップだ。それに続くのが和田選手で12打点。
和田選手に関しては、今回の日本シリーズ第1戦で先発が予想されるソフトバンクの和田毅投手との相性が良く、過去の対戦成績で4割4分6厘の打率を残している。初戦で和田選手が和田投手を打ち崩して勝てば(分かりづらくてすみません)、和田選手個人もチームも一気に波に乗れる可能性が高い。
また、中日の投手では、守護神・岩瀬仁紀投手に期待したいという。日本シリーズでは過去16試合に登板し、失点ゼロ。被打率は0割8分5厘という数字がある。全盛期と比べて若干の陰りは見えるものの、ここ一番での奮起が見られるかもしれない。
データ1つでスポーツの面白さは格段に増すものだ。さまざまな切り口でデータを収集し、分析してみることで、いつもと違ったスポーツ観戦を楽しんでみてはいかがだろうか。
【変更履歴】本文を一部修正いたしました。(2011年11月11日16時38分)
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