アメリカ航空宇宙局(NASA)は昨年6月までに、すべてのスペースシャトルを引退させた。引退したシャトルは、危険物や再利用機材の取り外しを行った後、アメリカ各地の博物館で展示されることになっている。昨年5月に最終フライトを終えた「エンデバー」は9月19日、その作業が完了し、ケネディ宇宙センター(フロリダ州)からカリフォルニアへ空輸する作業が始まった。
エンデバーをボーイング747の上に載せる「ピギー・バックライド」と呼ばれる輸送方法を使い、東海岸から西海岸へアメリカ大陸を横断する。この方法に驚く人は多いが、シャトル計画が始まった1970年代から実施されている。専用の747が2機あり、そのうちの1機はもともとJAL(日本航空)で使われていたということは、知る人ぞ知る事実だ。ともかく、この空輸が行われるのは今回のエンデバーの旅で最後となる。
同日、エンデバーがテキサス州ヒューストンの上空を通過するのが目撃された。近くのエリントンフィールド空港に立ち寄って給油するためだ。写真を撮影したGerald Matulka氏によれば、「シャトルと747を合わせた実物は非常に大きく、ゆっくりと優雅に飛んでいた。フリーウェイではみんなが車を止めて上空を見上げ、滅多に見られない光景に見入っていた。エンデバーはまだまだ飛べるのに、もう二度と宇宙に行かないのを残念に感じた(注:100回飛行可能な設計だが、結局25回しか使われなかった)。次世代の宇宙船に期待している」とのことである。
現存するスペースシャトル4機のうち、エンタープライズはニューヨーク近くに、ディスカバリーはスミソニアン博物館にすでに展示されている。エンデバーは今回ロサンゼルス近くに輸送され、10月終わりから展示される。アトランティスはまだ整備中だが、フロリダのケネディ宇宙センターで来年夏から展示される。
エンデバーは、1992年9月12日の毛利衛さんを皮切りに何度も日本人を宇宙に運んだ機体だ(注:日本人初の宇宙飛行はソユーズで1990年12月2日に宇宙に飛び立った秋山豊寛さん)。是非、実物を見に行ってみてはどうだろうか。
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