3G方式にW-CDMAを採用する「中国聯通」(China Unicom)と、cdma2000の「中国電信」(China Telecom)は20日に発売するが、今後契約縛りありでもiPhone 5cを99ドル以下で提供すれば、まだ他国と比べても納得の価格になるだろう。ただしいずれのキャリアからも無制限のデータ通信サービスは提供されていないので、iPhoneを購入できる魅力的なプランが出たところで、誰もが気兼ねせずデータ通信を使うというわけではない。
中国聯通と中国電信以外にも、7億のユーザーを抱える最大手キャリア「中国移動」(China Mobile)からiPhoneが発売されるのではないかとも言われている。中国移動は2G(GSM)時代に圧倒的なシェアを獲得し、ナンバーポータビリティ制度がないため、今も多くのユーザーを抱える携帯キャリアだ。
中国移動は中国が主導して開発した中速度・低価格を謳う3G方式「TD-SCDMA」を採用したことから、専用チップを搭載しない限り、iPhoneが発売されたところでGSM(GPRS)で利用するしかなく、現時点ではTD-SCDMA版が出る予定もない(後述)。このため、ユーザーは従来から使っている電話番号をキープしながらデータ通信を利用するため、通話用に中国移動、データ通信用には中国聯通か中国電信と、SIMカードを2枚保有し、デュアルSIMスロット搭載の端末を利用する人も少なくない(中国聯通のほうがデータ通信が速いと評判だ)。
iPhoneを販売していなかった最大手という点で中国移動とNTTドコモは似ているが、データ通信の品質に評判が高いNTTドコモと、速度に期待できない中国移動ではポジションは全く異なるわけだ。
中国の情報産業省にあたる「工業和信息化部」は、TD-SCDMA/TD-LTE両対応に加え、W-CDMAも含む3方式対応iPhoneの試験利用を許可している。TD-LTEは中国移動が採用する4G方式だが、一部都市でのテスト運営にとどまっている。とすると4GのTD-LTE版の前に、3GのTD-SCDMA方式に対応した中国移動版iPhoneが登場するかもしれない。中国移動版はあまり期待されていないが、速度は出ないまでも非常に安いデータ通信プランが用意できるなら、地方都市でのiPhoneユーザーが増えるだろう。
中国ではiPhoneの勢いが落ちている。リサーチ会社「易観国際(Analysys International)」のリポート「2013年第2四半期(4-6月)中国モバイル端末市場監測報告」によると、4〜6月の携帯電話端末の販売台数(密輸入品や模倣品を除く)は9039万台。このうちスマートフォンは7711万台で、前期比2.4%・前年同期比101.9%それぞれ増加。スマートフォンが占める割合は全販売台数の85.3%に達しているが、「最もふるわなかったメーカーはAppleで、前期に比べ1.6ポイント落とした」という。またタブレットでも「(4〜6月期で)Apple製品の販売が思わしくなく、初めて前期比でマイナス成長となった」としている。業界は異なるが中国ではテレビ販売が好調に推移しており、“不況だから買えなくなった”とは言いがたい。
中国でのファーストインプレッションはいいとはいえないが、中国において若者にとってもIT音痴の中高年にとっても、iPhoneは最高のメンツアイテムである。細かい価格差を気にしない人が集まって、発売日にキャリアショップやApple Storeに列を作るだろう。Apple離れが起きるかどうかは、今後の価格改定やキャリアの安価なiPhoneプランにかかっている。
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