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iPadカバーが音楽鍵盤に変身する「C.24」、国内先行発売

» 2014年12月16日 16時33分 公開
[松尾公也,ITmedia]

 SoftBank SELECTIONブランドのモバイルアクセサリを提供しているソフトバンクコマース&サービスは12月16日、シリコンバレーに拠点を置くスタートアップ企業Miseluと販売代理店契約を結び、Miseluが開発した音楽キーボードに変身するiPadケース「C.24」の国内販売を開始すると発表した。価格は2万4800円(税込)。本日からオンラインショップのSoftBank SELECTIONで販売されている。

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photo 複数台つないで使うこともできる

 Miseluの吉川欣也CEOは「2008年に起業し、できた商品がこれ。この小さなキーボードにわれわれの可能性が入っている」と話す。なぜいま楽器なのか。「いまは楽器を始めるのに物理的、経済的、自由度といったハードルがあるが、もう少しカジュアルに楽しめる楽器がないかと考え、持ち運べる楽器を作った。楽器もモバイルであったほうが楽しいはずだ」(吉川CEO)。

 Miseluは吉川CEOのもと、Appleやヤマハ出身のエンジニアなどが集結し、電子楽器を中心とした開発を行っている。2011年には、ヤマハとの共同開発で、VOCALOIDチップ「NSX-1」を搭載したAndroidベースのキーボードを試作したこともある。

 C.24は、Kickstarterで資金調達を始めたプロジェクトで、MIDI信号をBluetoothで鍵盤からiPadに飛ばす仕組みをAppleに先駆けて実装し、iPadカバーのように薄い鍵盤が磁力により浮き上がる(通常はバネを使うところだ)、さらに光センサーによりベロシティを検知するという特許取得済み技術により、自然なタッチの演奏ができ、音の強弱もつけられる。この価格帯ではこれまで提供されていなかった、アフタータッチという表現方法も可能にしている。Kickstarterでは2013年8月に9万9000ドルの目標金額達成。現在、最初のロットが支援者に送られつつあるところだ。一般販売はこれが初めて。

 C.24のネーミングには、音楽的な意味も含まれている。Cは「ド」、24は24鍵。「ド」から始まる2オクターブの演奏が可能なのだ。これだけあれば、GarageBandをはじめとするiPad用音楽アプリの演奏は難なくできる。

 iPadとの通信は、MIDI over BLEという、Bluetoothを経由した音楽情報伝送の標準プロトコルで行う。この規格に対応したキーボードは世界初だ。中央奥のボタンを押すと、カシャッと鍵盤がせり上がり、Bluetooth通信が始まる。MiseluがApp Storeで公開している無料アプリMiselu KEYを経由して、GarageBandなどの対応アプリが使えるようになる。

 iPad/iPhoneは、C.24に用意されているスリットに差し込んで使うことができる。ケースサイズとしてはiPad 4までにぴったりフィットするが、iPad Air、iPad miniでも利用可能だ。

 350本以上あるCoreMIDIに対応した音楽アプリにほとんど対応しており、発表会場ではGarageBand、FingerPiano Plus、KORG Module、KORG Gadgetでの演奏が可能だった。

photo 「あたりまえ体操」で知られる作曲家の樋口太陽さんがC.24を4台ならべ、KORG Module、KORG Gadgetを使ったデモ演奏を行い、ソフトバンク コマース&サービスの松田広史執行役員とMiseluの吉川CEOも演奏に加わった

 C.24にはさらなる拡張性が用意されている。この2オクターブのキーボードを複数台用意すれば、Bluetooth経由で48鍵、72鍵と増やしたり2段鍵盤にしたりもできる。4台つなげれば、通常のグランドピアノ以上の音域となる。

photo 4台をつなげるとグランドピアノよりも広い音域になる

 現在の対応機種はiPad、iPhone、そしてYosemiteがインストールされたMac。吉川CEOによれば、2015年以降にはAndroid、Windows、ゲーム機器、カラオケ機器と接続できるよう話を進めているという。また、このモデルのさらなる薄型化、軽量化も進める計画であるという。

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photo 記者会見終了後、スタバにC.24を持ち込みDTMをする様子

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