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映画公開記念! ダース・ベイダー VS. シャア 魅力的な“悪”の条件部屋とディスプレイとわたし(1/4 ページ)

» 2015年12月22日 17時49分 公開
[堀田純司ITmedia]

 「遠い昔、はるか彼方の銀河系で」というほどには遠くない、20世紀の1977年と1979年。この時期にアメリカと日本で、それぞれに人を惹きつけ、後世に大きな影響を与える悪役が相次いで誕生しました。

 奇しくも、二人とも「仮面の男」。そして2つの名を持ち、生来より後に名乗った名で知られ、恐れられたというところでも共通しています。

 そう、1977年の映画「スター・ウォーズ」に登場したダース・ベイダーと、1979年に放映された「機動戦士ガンダム」のシャア・アズナブル。魅力的な、あまりにも魅力的な2人の悪役(ヴィラン)です。

photo 今でも人気の高いシャアとダース・ベイダー

 「魅力的な敵をつくることができたら勝ち」という、物語づくりの格言があります。考えても見てください。もしエピソード4「新たなる希望」のメイン敵が、ただ単に立派なストームトルーパーだったら。あるいは「一年戦争」の敵方指揮官がチベ艦隊のコンスコンだったら。物語はきっと、そこまで盛り上がらなかったことでしょう。

 「スター・ウォーズ」と「機動戦士ガンダム」は、それぞれのタイトルってもって「〜世代」という呼び方が成立するほど画期的な作品となりましたが、これらの成功にダース・ベイダーとシャアという、2人の「敵」のキャラ設定が大きく寄与していたのは間違いないと思います。

 これが歴史というものの面白さかもしれませんが、今年2015年は偶然にも、ダース・ベイダーを崇拝するキャラクターが現れる「SW」の新シリーズと(初日に観ましたが、面白かった! キャラを凄く丁寧に描写していたのが印象的)、シャア誕生の歴史が明かされる「青い瞳のキャスバル」の映像作品が、ともに始まった年でした。

 この機会に2人の「敵」の軌跡をあらためて振り返り、「魅力的な悪の条件」を考えてみたいと思います。

素顔を見せない2人

 ダース・ベイダーは恐怖で銀河を支配した銀河皇帝の右腕的存在。ご存じ黒いマスクとボディスーツに身を包み、胸に生命維持機構のパネルをきらめかせているという、奇怪な姿の怪人です。過去に負った熱傷のために自発呼吸もままならず「コーホー」という人工呼吸音を常に響かせていました。フォースの暗黒面の力を得て、個人としても絶大な武力を持ち、パイロットとしても優秀。ただ、初期には一介の軍人として、帝国の高等官には下に見られている描写がありましたが、エピソードが進むにつれ権力を掌握し、冷酷な司令官として帝国の武力と恐怖を象徴する人物となります。

 シャア・アズナブルは、独立戦争を起こしたジオン公国の軍人でした。しかし、広く知られているように、その正体は宇宙植民者たちの思想的リーダーだったジオン・ズム・ダイクンの遺児。父がザビ家によって暗殺されたと信じる彼は、過去を隠し仮面で顔を覆い、公国軍に潜入していたのでした。士官学校を優秀な成績で卒業した彼は、戦場でも華々しい戦果をあげ、若干20歳にして少佐に昇進。公国軍のエースパイロット「赤い彗星」として畏怖される存在となる。軍もそうした彼に専用機を与え、その赤い機体は通常の3倍もの機動性能を発揮したといいます。

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