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「ゲーセン市場再生のきっかけに」――コーエーテクモ、20年ぶりのアーケードゲーム機は“VR対応”

» 2017年02月06日 17時23分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 コーエーテクモウェーブは2月6日、VR(仮想現実)ゲームを遊べる筐体「VR SENSE」を、アミューズメント施設向けに今夏発売すると発表した。VR映像に合わせて座席が動くほか、香りや風を感じさせるギミックを備える。前身のテクモの時代を含めると、コーエーテクモがアーケードゲーム機器・タイトルを開発するのは約20年ぶりという。価格は未定。

photo VR SENSE
photo 「PlayStation VR」を採用

 ユーザーが装着するヘッドマウントディスプレイは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)製の「PlayStation VR」を採用。映像と連動し、シートが前後左右に傾いたり、振動したりする。臨場感を増すために、香りや風、ミストを吹き付けたり、室温を変えたりする機能なども備えるという。コーエーテクモホールディングスの襟川恵子会長は「例えばホラーゲームだと、ネズミの大群が向かってきて、足元をざらざらと走る感覚に驚く」とプレイした感想を話す。

 提供予定のタイトルは、ホラーゲーム「ホラー SENSE だるまさんがころんだ(仮)」、競馬のジョッキーの気分を味わえる「G1 JOCKEY SENSE(仮)」に加え、アクションゲーム「VRアクション 真・三國無双」など。

photophoto 臨場感を増すためのギミックを搭載
photophotophoto 「真・三國無双」などの対応ソフトを開発中

 筐体1台当たりのプレイ人数は1人。サイズは1016(幅)×2075(奥行き)×1788(高さ)ミリ、重さは約300〜400キロ。アミューズメント施設向けに展開し、初回出荷時は3タイトルを同梱する(どのタイトルになるかは未定)。今後、新たにコンテンツを開発し、施設側に追加購入してもらう仕組みにする。

約20年ぶりのアーケードゲーム開発 「市場再浮上のきっかけに」

 「艱難(かんなん)辛苦の道だった」――襟川会長は、VR SENSE開発の道のりをそう振り返る。

 プロジェクトは、テクモの創業50周年事業として「何か新しいものを開発したい」という襟川会長の思いからスタート。しかし社内では「VRゲームはビジネスモデルが確立しておらず赤字になる」「残業規制があり、開発部門の人員に時間的余裕がない」などの反対意見が多かったという。

 「残業していなそうな、名前も知らない若い社員を見つけて開発に取り組んだ。その中に天才がいた」(襟川会長)

 ゲームプロデューサー「シブサワ・コウ」としても知られるコーエーテクモホールディングスの襟川陽一社長によれば、同社(前身のテクモを含む)がアーケードゲームを開発するのは、96年発売の「DEAD OR ALIVE」以来約20年ぶり。「ブランクはあるが、ゲーム専用機としてだけでなく、さまざまなVR体験ができる汎用性が高いものに仕上がった」(襟川社長)。

 コーエーテクモウェーブの阪口一芳社長によれば、アミューズメント機器の国内市場規模は、2007年ごろの約7000億円をピークに縮小傾向にある。阪口社長は「市場縮小にようやく歯止めがかかり、これから再浮上したいと業界全体が考え、新しいマシンを待望している。VRセンスが再浮上のきっかけになるように頑張りたい」と意気込んでいる。

photo 左からコーエーテクモウェーブの阪口一芳社長、コーエーテクモホールディングスの襟川恵子会長、襟川陽一社長、「VR SENSE」開発プロデューサーの藤井久徳さん

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