星野源さんのライブチケットをめぐり、混乱が起きた。転売対策の一環として「電子チケット」(デジタルチケット)が導入されたが、電子チケットを取得するためのアプリのシステムに問題があり、一部のユーザーが、数千円〜1万円の通信料を過剰に請求されてしまったのだ。
問題が起きた電子チケットアプリ「ローチケ」を提供するローソンHMVエンターテインメントは5月19日、アプリの不具合を謝罪。ユーザーが支払った余分な費用について、返金すると発表した。
電子チケットは、購入した本人のスマートフォンでしか表示できないため、チケットの転売対策として普及しつつある。一方、システムの不具合などによる混乱が頻発しており、今年4月にはジャニーズ事務所主催のイベントでも問題が起きている。
5月21日に開幕する星野源さんのライブツアー「Continues」は、紙チケットか電子チケットを選べ、電子チケットなら、行けなくなった場合に払い戻しできる「リセールシステム」が利用できる。
購入済みの電子チケットを閲覧・取得するため、購入者はアプリ「ローチケ」をインストールした上で、SMS認証する必要があった。
一般的なSMS認証は、業者側からユーザーにSMSが送られてくるため通信料は不要だが、ローチケのアプリでは、ユーザーから業者にSMSを送らねばならず、通信料はユーザーの負担。さらに、SMSの送信先が米国で、国際SMSの料金(1通50〜100円)を支払わねばならない仕組みだ。
加えて、「何度SMSを送ってもエラーが出て認証できない」という不具合が発生。「認証のために数千円〜1万円もの通信料がかかった」と報告するユーザーが続出した。
ローソンHMVは19日、「本来、1送信分の通信料のみで利用できるサービス。複数回のSMS送信で発生した費用は弊社が負担する」と発表。SMS送信時の電話番号に、SMSで返金方法を案内するという。
認証に不具合が起きた理由は、SMSが集中して通信できない状態になる輻輳(ふくそう)が起きていたためとみている。
同社は「お客様ならびに公演主催者、関係各社のみなさまへ多大なるご迷惑をお掛けいたしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪。輻輳対策は既に行ったとしている。
通信料が割高な国際SMSを使った理由や、ユーザーに通信料負担がかかる仕様にした理由については「回答を控える」としている。
チケットの高額転売が社会問題になる中、購入者本人のスマートフォンでのみチケットを表示できる電子チケットを導入するアーティストが増えている。ただ、システムや運用はまだ発展途上で、トラブルも頻発している。
最近では、今年4月に行われたジャニーズ事務所主催のイベントで、電子チケットの読み取り機械の不具合が起きたり、存在しない座席番号が案内されるなどの問題が発生。5月の「Kis-My-Ft2」のライブチケットでも「購入したチケットのQRコードが開けない」とのトラブルが報告されている。
初出時、国際SMSの送信先を「英国」としておりましたが、米国の間違いでした。お詫びして訂正いたします。
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