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転売対策「電子チケット」でまた混乱 星野源ライブ「通信料1万円」も ローチケが謝罪・返金へ

» 2017年05月20日 11時16分 公開
[岡田有花ITmedia]

 星野源さんのライブチケットをめぐり、混乱が起きた。転売対策の一環として「電子チケット」(デジタルチケット)が導入されたが、電子チケットを取得するためのアプリのシステムに問題があり、一部のユーザーが、数千円〜1万円の通信料を過剰に請求されてしまったのだ。

 問題が起きた電子チケットアプリ「ローチケ」を提供するローソンHMVエンターテインメントは5月19日、アプリの不具合を謝罪。ユーザーが支払った余分な費用について、返金すると発表した。

画像 ローチケの謝罪

 電子チケットは、購入した本人のスマートフォンでしか表示できないため、チケットの転売対策として普及しつつある。一方、システムの不具合などによる混乱が頻発しており、今年4月にはジャニーズ事務所主催のイベントでも問題が起きている。

「米国へのSMS送信」で認証 エラー頻発

 5月21日に開幕する星野源さんのライブツアー「Continues」は、紙チケットか電子チケットを選べ、電子チケットなら、行けなくなった場合に払い戻しできる「リセールシステム」が利用できる。

画像 リセールシステムの紹介(星野源さんの公式サイトより)

 購入済みの電子チケットを閲覧・取得するため、購入者はアプリ「ローチケ」をインストールした上で、SMS認証する必要があった。

 一般的なSMS認証は、業者側からユーザーにSMSが送られてくるため通信料は不要だが、ローチケのアプリでは、ユーザーから業者にSMSを送らねばならず、通信料はユーザーの負担。さらに、SMSの送信先が米国で、国際SMSの料金(1通50〜100円)を支払わねばならない仕組みだ。

 加えて、「何度SMSを送ってもエラーが出て認証できない」という不具合が発生。「認証のために数千円〜1万円もの通信料がかかった」と報告するユーザーが続出した。


画像 ローチケアプリの起動画面。SMS認証を求められる。「国際SMSを使用します」の注意書きは13日以降に表示されるようになった
画像 SMS認証ボタンを押すと、国番号「1」(英国)あてSMSの送信画面が表示される
画像 通信エラーも頻発していた

輻輳で不具合 ローチケが謝罪・返金

 ローソンHMVは19日、「本来、1送信分の通信料のみで利用できるサービス。複数回のSMS送信で発生した費用は弊社が負担する」と発表。SMS送信時の電話番号に、SMSで返金方法を案内するという。

 認証に不具合が起きた理由は、SMSが集中して通信できない状態になる輻輳(ふくそう)が起きていたためとみている。

 同社は「お客様ならびに公演主催者、関係各社のみなさまへ多大なるご迷惑をお掛けいたしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪。輻輳対策は既に行ったとしている。

 通信料が割高な国際SMSを使った理由や、ユーザーに通信料負担がかかる仕様にした理由については「回答を控える」としている。

繰り返される「デジチケ」の混乱

 チケットの高額転売が社会問題になる中、購入者本人のスマートフォンでのみチケットを表示できる電子チケットを導入するアーティストが増えている。ただ、システムや運用はまだ発展途上で、トラブルも頻発している。

 最近では、今年4月に行われたジャニーズ事務所主催のイベントで、電子チケットの読み取り機械の不具合が起きたり、存在しない座席番号が案内されるなどの問題が発生。5月の「Kis-My-Ft2」のライブチケットでも「購入したチケットのQRコードが開けない」とのトラブルが報告されている。

お詫びと訂正

初出時、国際SMSの送信先を「英国」としておりましたが、米国の間違いでした。お詫びして訂正いたします。

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