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「ゲーム用語が分からなかった」 タニタのゲーム業界進出、責任者は“ゲーム初心者”だった(4/4 ページ)

» 2018年06月15日 07時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]
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単に「社長の趣味」ではない

 「モノづくりの可能性を見いだす取り組みにしてほしい」――プロジェクトが始まった当初、谷田社長は久保さんにそんなメッセージを送ったという。今回のプロジェクトは、ただ単に「社長の趣味」というわけではなかった。

 「ニッチな商品は、本当はすごく要望があっても、市場規模や売り上げの見込みを考慮するために潰れていくことが多い」(久保さん)。大企業では、承認フローの中で、そうした“夢ある企画”が消える場合もある。タニタは、体組成計、活動量計などを開発するモノづくりの中小企業だからこそ、「コアなファン向けの商品を作りたいという思いがあった」(久保さん)

 ただ、販売在庫のリスクを抑えるには、どれほど需要があるかを少しでも明確にする必要がある。そこで、タニタが選んだ手段がクラウドファンディングだった。

 リターンとしてツインスティックが届く支援は、1口5万5400円から(税込)。7月30日までに5000口、合計2億7700万円を募る。期間内に目標金額に到達した場合のみ、プロジェクトが成立する「All or Nothing」方式を採用した。達成すれば、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」では過去最高額のプロジェクトになる。

 支援は試作機の開発や金型の製作に充てる。久保さんによれば、前モデルのツインスティックは、10年近く前に発売されたこともあり、製造に必要な金型が破棄されていたという。

 開始から6日間(6月14日時点)の調達額は約3580万円、達成率は12%と、まだ道半ばだ。久保さんは「目標額は大きいので、盛り上げたい」と意気込む。1口500万円、1000万円のプランも用意し、個人だけでなく企業からの支援も募る。

photo タニタのプロジェクトは6月14日時点で、既にCAMPFIRE歴代4位の調達額に達している=CAMPFIREのWebサイトより

 久保さんは「いち中小企業が成功例を生めば、他のメーカーにも波及し、日本の製造業の活性化につながる。作りたいものを作れる世の中にしたい」と話す。「クラウドファンディングを含め、さまざまな方法を生かせれば、新しいモノづくりの形が見えてくるかなと考えている」(久保さん)

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