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「eスポーツの急な盛り上がり」に戸惑いと混乱 現役プロゲーマーらが本音で議論(1/3 ページ)

» 2018年08月21日 19時28分 公開
[村上万純ITmedia]

 「eスポーツの急な盛り上がりに正直戸惑っている」「選手は置いていかれている感じがする」——8月21日に開催されたポップカルチャーとテクノロジーのイベント「YouGoEX 2018」で、現役のプロゲーマーなどゲーム関係者らが、日本のeスポーツの現状や課題、今後の展望について議論した。今年に入って日本では急に「eスポーツ」という言葉が各メディアで大きく取り上げられ、現場では戸惑いの声も少なくないという(Twitchのアーカイブ)。

よしもと YouGoEX 2018」のeスポーツトークイベント

 日本は韓国や中国などの近隣国や欧米諸国と比べ、“eスポーツ後進国”といわれていたが、今年2月に日本国内のeスポーツ普及を推進する新団体「日本eスポーツ連合」(英語名:Japan esports Union、JeSU)が設立され、賞金付き大会を開催したり、大会の成績上位者にプロライセンスを発行したりと、業界として大きな動きがあった。

 また、吉本興業がeスポーツ事業への参入を表明し、サイバーエージェント子会社のCyber Zが、エイベックス・エンタテインメント、Cygames、ウルトラゲームスらと合同でスマートフォン向けカードゲーム「シャドウバース」の国内初となるプロリーグを設立するなど、企業もeスポーツ産業に大きな関心を示している。

 ゲーム関係者にとって、eスポーツ産業が盛り上がるのは本来喜ばしいことに思えるが、現場では「eスポーツの急な盛り上がり」に戸惑う声も上がっている。

よしもと 司会を務めたお笑いコンビの次長課長の2人。ゲーマーとして知られる井上聡さんは、「子供の頃親にファミコンを取り上げられてストレスで視力が下がり、ファミコンが戻ってきたら集中力が上がって視力が回復した」というエピソードで会場の笑いを誘った

「爆発的な普及に混乱」

よしもと アールさん

 ゲームイベントで実況を務めるアールさん(@papatiwawa)は、「中の人からすると、eスポーツの爆発的な普及に戸惑いもある。今は(現場が)混乱しているなと見受けられる」と率直な意見を述べた。「eスポーツに参入したい大企業の相談も増えた。しかし、みんな自分の所で(eスポーツ事業を)やりたいと思っているので、どこに落ち着くのだろうかと思う。ユーザーやコミュニティーが幸せになる落としどころを探りたい」(アールさん)

 2015年に「ウルトラストリートファイター IV」の世界大会で優勝したプロ格闘ゲーマーのかずのこ選手(@kazunoko0215)は、日本と海外ではプロゲーマーの扱いに差があると話す。

 「海外はeスポーツが浸透しているので、プレイヤーをアスリート扱いしてくれるが、そういう意味で日本は遅れている。最近はメディアの取材も増え、海外に追い付こう、eスポーツを盛り上げようとしているのは分かるが、プレイヤー的には置いていかれている感じがする」と本音を明かした。

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