午後4時前、本戦が幕を開けようとしていたところ、チームはある決断を迫られていました。レーススタート前から空には黒い雲が見えており、レース主催者側はクルマの屋根を閉めてもいいと宣告。レース車両はマツダのオープンカー「ロードスター」で、本来は屋根を開けるのがルールでした。
わがチームはゲリラ豪雨が来ることを予想して屋根を閉めることに。空が見える開放感は失われ、車内の温度は上昇し、写真映えも怪しくなってしまいますが、びしょぬれで走行が難しくなる事態を避けることにしました。
午後4時過ぎ、定刻から少し遅れてレースがスタート。最後尾ではありましたが、快調にペースを上げるITmedia×MONOistチーム。しかし、開始からわずか20分ほどで、やはり雲行きが怪しくなってきました。大雨が降り始めたのです。
控えのドライバーたちが待つ本部にも、激しい雨音が響きます。屋根を開けていたため走行困難になるクルマもいる中、「屋根を閉めて大正解だった……!」と胸をなで下ろす一同。しかし「クラッシュしたチームがいる」という情報も入り、皆の表情が険しくなります。雨は止むどころか、強さを増しています。視界がどんどん悪くなっていく車載映像(ドライバー視点)を本部でも食い入るように見ていたときでした。
「赤旗が振られた」
赤旗はレース中断を意味します。ライブ配信の画面にも「赤旗?」「レーダーだと断続的に土砂降りみたいです」など、心配するコメントが並びます。
開始早々、大波乱の展開にざわつく本部で、スタッフの1人、大西七歩さん(メディア企画部)はスマートフォンで配信画面を見つめていました。以降、大西さんは「また雨が降ってきました」「監督ブリーフィング中です!」「(情報提供に対し)ありがとうございます!」というように、視聴者へコメントを返しながら“レース実況”を続けました。
「現場でしか分からないことを共有すること、見ていただいている方への感謝の念を忘れないことを心掛けました」(大西さん)
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