「飽きない対話は、なぜ飽きないのか」を研究していく中で、井上さんは「変化」の要素が重要と考えた。AIエージェントが会話を繰り返す中でユーザーの性格や人物像を記憶し、感情や状況の推定に生かしていく――というAIの開発を進めている。
例えば、当初は「食事にいってくる」→「どなたとですか?」→「SMEの井上さんとだ」→「お帰りは何時ですか?」→「22時には戻る」といった会話でも、AIが記憶を更新すれば「食事にいってくる」→「どなたとですか?」→「SMEの井上さんとだ」→「最近仲がよろしいようですね? 前回は予定時間より遅れて帰宅でした。今日は飲み過ぎ食べ過ぎにご注意ください」と、より人間らしく回答することを目指す。
「これまでは『罵倒少女』のように、キャラクターが得意な分野にユーザーを囲い込んだ『箱庭』の中でリッチな体験をしていただくのが、AIキャラクターの在り方だった。(新しいアプローチは)箱庭がなくなるとはいわないが、可能性が格段に広がると考えている」(井上さん)
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