米Google傘下のYouTubeのスーザン・ウォジスキCEOは11月12日(現地時間)、EUが9月に可決した著作権指令の改正案について、「非現実的」で「これを守ろうとすれば、(YouTubeのような)コンテンツプラットフォームに権利に関する正しい決定を期待するのは不可能になる」と公式ブログで語った。
ウォジスキ氏が問題にしているのは、著作権指令の第13条。YouTubeのようなコンテンツサービスプロバイダーは、ユーザーがアップロードするコンテンツについて、権利保有者との合意に基づく機能(ロイヤリティーについての取り決めなど)が正しく機能するよう、効果的なコンテンツ認識技術の構築を義務付けるというものだ。
YouTubeは既にAIと人間によるコンテンツチェック機能を採用しているが、毎分400時間分以上の動画が投稿されているYouTubeで確実に問題のある動画をブロックするのは困難だと同氏は説明する。ブロックできなかった場合はユーザーではなくサービス提供者が責任を問われるが、「そのような財務上のリスクを負う企業はない」とウォジスキ氏。
このまま第13条がEU諸国で法律化された場合、何百万人ものユーザーがYouTubeなどのプラットフォームにコンテンツをアップロードできなくなるおそれがあり、欧州の視聴者は、すでに公開されているコンテンツを含め、世界中のクリエイターによる何十億本もの動画にもアクセスできなくなるおそれがあると同氏は警告する。
「われわれは政策立案者に対し、権利保有者とクリエイターを同時に保護するソリューションを見いだすよう求る」(ウォジスキ氏)
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