「Twitterにアップされたコラ画像も保存すると違法なのか」「ゲーム実況動画のスクリーンショットもダメなの?」――文化庁の審議会で検討されている著作権法の改正案について、ネット上では戸惑いの声が広がっている。
2月13日付けの朝日新聞によると、違法にアップロードされたことを知りながら、インターネット上にあるコンテンツをダウンロードする行為について、その範囲を漫画や論文など著作物一般へ広げる方針が同審議会で了承されたと報じられている。
ネット利用者の多くが日常的に行っているスクリーンショットなどの行為もダウンロードの対象に含まれるとあり、ネット上では「何をしたら違法なのかの線引きが分からない」と混乱の声が各所で上がっている。
先に述べたいのが、「合法か違法かの線引きは分かりにくく複雑で、解釈が難しい面もある」ということだ。例えば「違法にアップロードされたことを知りながら」というのは、誰が判断するのだろうか。「違法だと知らなければOK」というなら、誰もが知らないフリをするだろうし、取り締まる側のやり方によっては自白の強要につながる可能性もあり得る。
今回の改正案における問題の焦点は何なのか。何が合法で何が違法になるのか。あらためて整理してみたい。
今回問題となっているのは、「違法にアップロードされたコンテンツを、違法と知りながら、ダウンロードする行為」の対象が、静止画やテキストなど著作物一般に広がることだ。
著作権法では、著作権者の許可なく著作物を利用する行為として、個人的な目的や家庭内で利用することを想定する「私的使用のための複製」を認めている。
しかし2009年の法改正で、映画・音楽の著作物については、違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする行為は私的使用の範囲でも違法になった。12年の法改正では、同じく違法にアップロードされ、有償で提供される映像や音楽ファイルをダウンロードする行為は刑事罰の対象に(親告罪)。2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科される。
違法アップロードを行う側の取り締まりが難しいということで、ダウンロードする側の取り締まりを強化しようというわけだ。
12年当時は、P2Pファイル交換ソフトの「Winny」や「Share」などで不正流通する違法コンテンツのダウンロード抑止などが想定されていたが、刑事罰化以降に摘発された事例はない。
また静止画やテキストなどは影響範囲の大きさなどを理由に対象外だったが、「漫画村」を始めとする海賊版サイトの被害が広がる中で、“ダウンロード違法化”の対象範囲が広がった形だ。
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