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海外の富裕層はなぜゴールド(金)を持つ? 金を買う3つの方法渋谷豊の投資の教室(2/3 ページ)

» 2019年02月18日 10時55分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 それは、米ドルが下がったときにゴールドの価格が上がって、ドルが上がったときにゴールドの価格が下がるという価格の逆相関があるからです。世界の通貨量の60%は米ドルです。富裕層の人たちが持っている通貨も圧倒的に米ドルが多くて、おのずと米ドルのリスクを取っているという状況です。私たちはそこまで米ドルを持っていないのでそのリスクを感じませんが、ドルがメインの人はドルの下落リスクを感じているわけです。だから、ドルと逆相関するゴールドを保有しようとします。

ゴールドと米ドルの価格推移

 なぜドルが下がるとゴールドが上がるのか。ドルは基軸通貨なので、信頼が強いときはドル高になります。基軸通貨としての信頼が厚い時と、経済が不安定な時ではドルの評価が違うんですね。また、ドルは実質金利が高いときに上がる傾向があります。実質金利が高いときは、期待インフレが低いとき、または、政策金利が上がるときです。逆にゴールドは実質金利が低いときに価値が上がります。その結果、ドルとゴールドは逆の動きをするわけです。

 ゴールドはポートフォリオにおいては、バランスを取るためのアンカーのようなものなんですね。

サイトウ: 日本人でもドル建て資産を持っている人は、少しゴールドを持つのもありでしょうか?

渋谷: 日本においては、ゴールドの価格も為替も両方資産価値に影響します。1ドル100円から90円になったら10%下がります。ドルに逆相関するゴールドが10%上がってもとんとんという感じ。ドルの減価分くらいはカバーしてくれるといえるかもしれません。

 2009年からでいうと、ゴールドの価格は1オンス600ドルくらいで推移してきました。そのあと1年半で1900ドルまで上がりました。3倍近く上昇したんです。そのときにドルの価値は3倍下落したかというとそんなことはない。ゴールドは、みんなが危惧するときはものすごく上がるんです。ほんの少し持っているだけでも、すごくパワーを持っている資産だともいえます。

 投機としては良くないですが、資産のバランスを取るためにはいい。サッカーでいうとボランチみたいな位置づけです。

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