日本建築学会、違法ダウンロード規制拡大に「強く反対」「クリエイティブの土壌が痩せる」
無許諾でアップロードされたコンテンツのダウンロードを私的利用でも違法とする範囲を、画像やテキストなどあらゆるコンテンツに拡大する政府の著作権法改正案について、日本建築学会は3月11日、「強く反対する」との声明を古谷誠章会長名で公表した。
作品のごく一部のダウンロードも違法とする現在の案は「クリエイティブな活動を行うための情報収集、コミュニケーション等に著しい悪影響を及ぼす」と指摘。違法ダウンロード規制の項目を削除するか、法案に「原作のまま」「権利者の利益を不当に害する場合」という要件を付け加えることを求めている。
【更新:2019年3月12日午後2時 初出時、学会が法案に加えることを求めている要件について、声明文の記載に基づき「権利者の利益を不当に害さない場合」と記載していましたが、その後、声明文の記載が「権利者の利益を不当に害する場合」と修正されたため、記事も改めました。】
漫画海賊版対策を名目とした違法ダウンロード規制拡大をめぐってはこれまで、漫画関連団体や法学者などから反対意見が出ていたが、新たに、建築分野からも反対意見が出た形だ。
声明では「国民の多くは、日常的に様々な形で著作物の私的なダウンロードを行っている」とした上で、政府の法改正案は、「適法なソースからではない私的ダウンロードについて、その事情を知っている場合には、イラスト1枚、文章数行といった零細なものまでをも違法とし、場合によっては刑事罰の対象とする内容になっている」と解説する。
このような広範な規制は「教育、研究、創作をはじめとしたクリエイティブな活動を行うための情報収集、コミュニケーション等に対して著しい悪影響を及ぼす」同学会は懸念しており、この問題は「建築学の調査研究や建築設計等の活動でも同様」であるという。
さらに、「情報収集、コミュニケーション等が妨げられることは、国民が日常的な知的生産活動を行う場合のいわば『肥やし』の供給を断つものであり、その供給が細れば、結果的にクリエイティブな活動の土壌それ自体が痩せてしまう恐れがある」と、創作活動への悪影響を懸念。
その上で、「現在の文化庁案の広範な規制には強く反対する」と表明。法改正の趣旨だった海賊版への緊急対策に立ち返り、「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」については法案から削除するか、法案に「原作のまま」「権利者の利益を不当に害する場合」という要件を付け加えることを求めている。
違法ダウンロード規制拡大をめぐっては、日本漫画家協会や全国同人誌即売会連絡会なども、見直しを求める声明を発表している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
2
PHP脆弱性でいち早くサービス停止したコドモン 背景に「被害が出てからでは取り消せない」
-
3
AIに200万円渡してネットショップを1年運営させてみた──Alibabaの研究者らがシミュレーション 資産14倍の例も
-
4
人に注射を打てる「サイボーグゴキブリ」の群れが、がれき下の被災者を救助? 実験成功率72%
-
5
「お名前.com」 のFX自動売買VPS、不正アクセスで金銭被害か 「600万円の損失」「55万円なくなった」……報告相次ぐ
-
6
「AIでエンジニア派遣は不要になる」のか? 各社に肌感を聞いた 求められる人材、明確に変化
-
7
タイムズカー、3000円の見舞金支払いへ 免許証画像漏えいの146万件対象 55億円の特損計上
-
8
PayPay、「免許証画像で本人確認」廃止 ICチップ読み取りに統一
-
9
1000万のWebサイトで「生きたAPIキー」が大量に“丸見え”状態? 大手銀行やインフラの鍵も 米スタンフォード大などが調査
-
10
高市総理、サイバーセキュリティの本を出していた しかも“PHP”から
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR