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会計士投資家が米国企業に投資する理由 世界的大企業のポートフォリオ個人投資家列伝(8)(1/2 ページ)

» 2019年03月12日 14時12分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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 個人投資家の方々に、投資遍歴から投資に対する考え方まで聞いていくインタビュー企画「個人投資家列伝」。第8回は、公認会計士というバックグラウンドを持ち、企業の財務を分析しながら米国優良株に投資するhiroさんに話を聞いた。

スタートはインデックス投資

 hiroさんは、都内在住、30代前半の会社員だ。大学在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人を経て、現在は大手上場企業に勤めている。20代から株式投資をしてきたが、現在は米国株が中心。2400万円ほどの資金を、15社以上の米国企業に分散投資している。

 「社会人になってすぐに長期投資を知った。それまで株はギャンブルに近いものだと思っていたが、いろんな本を読む中で山崎元さん、勝間さん、水瀬さんなどの著書から、ゆっくりだけど資本主義の恩恵を得て、複利で資産を増やしていくという方法に感銘を受けた」

 早くから資産運用を意識してきたhiroさんだが、最初は勇気がなくて、しばらくは本を読むだけだったという。貯金が500万円を超えたころ、怖いけどやってみようと投資に踏み切った。

 「最初は1万円だけTOPIX連動の投資信託を買った。そのあと、2013年の年初にMSCIコクサイ、MSCIエマージングマーケット、TOPIXに連動した投資信託に100万円ずつ投資した」

 MSCIコクサイは、日本を除く先進国の平均株価に連動した指数。MSCIエマージング・マーケットは、新興国の株式を対象とした指数だ。日本株式の指数であるTOPIXと合わせて、全世界の株式に投資したことになる。

 このようにインデックス投資から資産運用をスタートしたhiroさんだが、2015年にジェレミー・シーゲルの著書を読んで考え方が変わったという。

 「シーゲル流とは、ほぼほぼバフェット流。シンプルに、時に裏打ちされた企業、大型バリュー株に気長に投資していく。高配当がシーゲル流だとは思っていなくて、大型優良株に投資していくという解釈」

 この運用スタイルの変更から、投資観も大きく変わった。インデックス投資をしていたときは、世界経済の成長に伴って社会が豊かになり、各企業も成長して平均して6%〜7%の率で投資家もリターンを得られると考えていた。逆にいうと、インデックス投資のときは株価しか見ていなかったという。

 「変わったのは、株価というより企業の利益を見るようになったこと。利益が伸びている会社では株価はあとからついてくる。会社の利益は株主の利益という、当たり前の事実に気づいた。インデックス投資では、いい会社もあれば悪い会社もあり、全体としては資産は増えていく。でも、世界的なブランドを持つ大型の優良株は、長期的に利益を上げていけるし、投資していけば長期のリターンは最大化されるのではないか。このシーゲルの理論はふに落ちたし、過去の統計データでもそれが分かった」

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